長崎県立大学での講義~佐世保は横須賀・舞鶴・呉と並んで軍港から発展「自衛艦迅し青嵐の朝にかな」

5月20日朝から佐世保市相浦の長崎県立大学の「長崎経済論」の講義に向かいました。地域振興政策の柱と総合計画、産業連関表分析を講義させていただきました。教室は50名を超える学生さんで一杯になりました。佐世保は独特の雰囲気の街です。1889年、呉と並んで佐世保に鎮守府が設置され、軍港として発展します。今朝も、巨大な艦艇が停泊し、ここが「西の守り」の街であることを感じます。「自衛艦迅(と)し青嵐(せいらん)の朝にかな」港の中は波静かですが、荒れつつある外海へと全速で港を出て往く自衛艦を描きました。「夏雲雀(なつひばり)米軍艦の山動く」軍艦が佐世保港に入港する際に、両側に山を間近に見ながら波静かな入り江を、滑るように通過します。まるで山が動いているように感じ、夏雲雀の声が聞こえて来そうです。そして、佐世保港を出て、最近は行きたくても時間が取れなくなった小値賀(おぢか)島のことを思い出していました。「鹿の子や野首教会とふが遺れり」俳句は解説してはいけないと思いますが、「とふが遺れり」は「というが遺れり」の文語体です。「遺れり」は世界遺産(候補)を意味します。小値賀町の野崎島は今は無人島で、野生の鹿が群れ遊んでいます。そのような島に野首教会が超然と立っている光景を表現しました。昔のカトリック信者の皆さんが、食べるものも我慢してお金を集めて苦労して建てた教会は、単なる建築物ではありません。神々しい光を今も放っています。

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長崎・東京~「杖ついて坂上り来ぬ濃紫陽花」「大西日コンビナートの火の紅し」

俳句というと風流に聞こえるかも知れませんが、日本の四季の美しさを表現するには最も適した文芸形式だと思います。季語が持つイメージに託することができる点で、季語は俳句の読者との重要なコミュニケーション手段だと思います。長崎と東京は、僕の2大生活拠点。「杖ついて坂上り来ぬ濃紫陽花(あじさい)」長崎は坂が多くて、高齢者が杖をついて階段を上る姿があちこちで見られます。館内(かんない)から東山手にかけての階段、寺町の墓地に上がる階段。その階段を上がりきった所に濃い色の紫陽花が咲いている風景ほど、この時期の長崎らしい風景はないのではないかと思います。所変わって東京の風景。「大西日(おおにしび)コンビナートの火の紅し」夕刻、羽田空港で長崎行きの飛行機を待っているとき、空港の対岸の石油化学コンビナートの3本の煙突から、西日にも負けない位に真っ赤な炎が高くめらめらと上がっているのを見て、「景気がいいんだな」と思う反面、「火事にならないだろうか」などと要らぬ心配をついしてしまいながら眺めていると、搭乗案内が始まりました。季節感のある日本の風景は俳句のゆりかごです。

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長崎・大村と豊洲・築地と~新しい街を造る・街を生まれ変らせる喜び「新駅の突貫工事や遠蛙」

今年3月、「長崎市中央部・臨海地域都市再生委員会」の委員長に就任させていただき、また、大村市「地域公共交通会議」の議長を務めさせていただき、新幹線新大村駅周辺都市計画に関わってきた経験から、新しい街を造ること、街を生まれ変らせることが地域の将来を今後数十年にわたって変えることになると考えています。「新駅の突貫工事や遠蛙(とおかわず)」一方、東京都では豊洲・築地の議論やオリンピック・パラリンピック施設の建設が進められて、国際都市として大きく飛躍しようとしています。「新樹光豊洲会議は白熱す」「筍(たけのこ)や築地商い飄々(ひょうひょう)と」「筍や七賢人も斯くもかと」竹林で現実の問題を議論したと言われている「竹林の七賢」(中国の三国時代)も筍を食べたかも知れません。現在築地市場で取引されている筍も旬の季節が終わろうとしていますが、地方も東京も、また都市経営も施設経営も、いずれにしても「経営」が求められています。

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第四次産業革命で地域はどう変わる?(NBCラジオ「おはようコラム」2017.5.12)

最近「第四次産業革命」という言葉が聞かれ、人工知能AIや物のインターネットIoTが脚光を浴びています。第四次産業革命が日本経済・国民の生活、地域経済をどう変えるか、考えてみたいと思います。第四次産業革命とは、第一次産業革命(蒸気機関)、第二次産業革命(内燃機関・電気モータ)、第三次産業革命(コンピュータ・インターネット)に次いで、人工知能・IoT・3Dプリンター等の技術です。日本経済が第四次産業革命のようなイノベーションが無かったと仮定すると、経済成長率は、2035年には0%に低下し、、2060年ころまで0-0.1%程度の成長となる、という予測が、経済博士の井上智洋氏から出されています。一方、第四次産業革命が進行すると、日本経済は2030年ころから成長が加速し、2060年にかけて5%程度の経済成長になると予測されています。また、人工知能によって労働需要が大きく変わり、事務労働が2040年ころまでにほぼ消滅し、肉体労働が減少、頭脳労働もやや減少する社会になると予測しています。次に、人間の仕事のうち、機械に奪われにくい仕事として、①クリエイテイビテイ系(創造)、②マネジメント系(経営・管理)、③ホスピタリテイ系(もてなし)があります。
私たちの世代が子供の時にテレビで見た「鉄腕アトム」が、遠隔操作航空機やドローンなどの形で実現しているのを見ると、2030年以降、どんなことが起こっても不思議はありません。
イノベーションが進む中で、地域経済はどうなるのでしょう。世界を見渡して、人工知能やロボットなどで主導できる国は、人口が減っても、高齢化が進んでも、一定の経済成長を続けられます。同様に、イノベーションを取り込むことができた地域は、雇用を守り、税収を上げることができます。また、人間の能力が活かせるホスピタリテイを活かした観光や、アニメ・音楽のコンテンツなどクリエイテイビテイ系の企業が多く立地する地域も同様に、安定した経済を獲得できると思います。
長崎県の経済の次の柱として、観光・船舶関連に加え、第四次産業革命型の人工知能・ロボット・飛行機関連の産業集積を形成していくのも一つではないかと思います。

この記事は、NBCラジオを聞けない地域の方々からのご要望に応えるため、要約をブログに掲載させていただいています。

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飛行機で読んだ一冊⑩「カーネギーとジョブズの人生を拓く天国の対談」

5月11日夜、羽田から長崎に移動する飛行機で読んだのが、永江誠司著「カーネギーとジョブズの人生を拓く天国の対談ーアドラー哲学を実践して得た100の金言」でした。1888年生まれのカーネギー(自己啓発の技法開発者)と1955年生まれのジョブズ(アップルの創業者)との間には、67年の開きがあり、それぞれに経験に基づいた名言集が出されていますが、もしこの二人が対話するとどうなるか、仮想論議を書いたのがこの本です。この二人の人生訓・成功法則は極めて似ていて、それを100項目にわたり比較しながら書いています。しかし、二人の考え方には異なった部分も当然あって、例えば「聞き上手であれば話下手でもよい」という項目では、カーネギーが「いい会話者とは聞き上手の人である」と言っているのに対し、ジョブズは、「激しい議論を通して創造性が刺激され、いい製品が生まれる」と述べています。これは突き詰めると言い方が異なるだけなのですが、二人の職業の違いや年齢の違いを反映していると思います。私は、大学でMOT(Management of Technology)の講義の際に、ジョブズの「スタンフォード大学卒業講演」を読んで、学生に「イノベーション」とは何かをレポートしてもらっていますが、様々な逆境を乗り越えた人間の言葉には「知恵」と「勇気」が詰まっています。「人間は失敗からしか学べない」(ジャック・マー「長崎大学講演」)ことは事実ですが、全てを経験することはできないので、カーネギーやジョブスの経験から生まれた言葉は貴重なのです。

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長崎MICE誘致推進協議会総会に出席~長崎市交流拠点施設の競争力を高める

5月9日午後、平成29年度長崎MICE誘致推進協議会総会が開催され、委員として出席させていただきました。長崎市交流拠点施設のコンペも公募され、いよいよ具体化に向けて動き出しました。交流拠点整備は、「観光と物産の融合」による、次世代に向けた「国際文化観光都市・長崎」を創るために、「高付加価値観光」(私の造語)につながるものと期待しています。実現のためには、民間の知恵による「実のある集客」を継続的行うことが不可欠で、そのためのDMO(Destination Management Organization)を含む官民協働による組織作りも必要です。九州地区だけでも、福岡・熊本・久留米等との競争、全国の多くのコンベンション都市との誘致競争に、積極的に取り組む「地域経営能力」が求められます。(画像は、総会での田上・長崎市長の挨拶。オランダ・アムステルダムとの比較が印象的だった。)

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須磨神戸のランチクルーズ~「あわじ島卯波銀波を船往かん」「新緑や六甲を背に船滑る」

5月6日、神戸港の「ルミナス神戸2」で須磨神戸沖をランチクルーズをご案内いただきました。1,000人乗りの中型船で、ゆったりと景色を見ながら地元の食材を楽しみました。「新緑や六甲を背に船滑る」沖合に出るまでは海は凪いで、湖面を滑るように進みます。「あわじ島卯波(うなみ)銀波を船往かん」ここで、「卯波」とは、「卯月」旧暦4月のころに立つ波で、新暦では5月です。須磨沖から明石海峡や淡路島を望む海域に達すると、「卯波」が波立ってきました。「須磨の沖クルーズ船の南瓜食む」南瓜で思い出したのですが、私の母の句集は、「南瓜飯(かぼちゃめし)」(角川書店)でした。戦後「南瓜飯」を食べた母の時代よりははるかに食が豊かになりましたが、南瓜の甘くて豊かな風味は変わりません。2時間の海上散歩でした。

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有馬(ありま)路を行く~「有馬路に金の湯銀の湯雲雀鳴く」「親と子の顔浮く有馬菖蒲の湯」

5月7日、日ごろから温泉で免疫力を高めるように言われているので、仕事の後、神戸三ノ宮から有馬温泉にご案内いただきました。関西に住んでいたので温泉の名前は聞いていましたが、行ったことはありませんでした。新開地から坂を登るように神戸電鉄の電車が進みます。どこか、箱根登山鉄道に似ています。「藤波に鵯(ひよどり)越えの地鎮まりぬ」鵯越駅を通り過ぎるころ、大きな藤の木が初夏の風にそよいでいました。「ああここは、源平合戦の鵯越えの場所だったのだ」と思うと、馬に乗った義経が山を駆け下りる風(かぜ)を感じました。終点の有馬温泉に着き、送迎バスで「太閤の湯」(豊臣秀吉の秘湯として発展した湯治場・避暑地)に向かい、街全体に人があふれ古くて大きな温泉街だと感じました。「有馬路に金の湯銀の湯雲雀鳴く」金泉・銀泉があり、肩からお湯を流す湯もあり、露天風呂と岩盤浴がありました。楽しい温泉です。「親と子の顔浮く有馬菖蒲の湯」「有馬の湯親子並びて菖蒲嗅ぐ」日曜日で、温泉に入りに来た親子もいて、並んでいると、「親子であることが顔や骨格にどうしても表れるなあ」と感心してみていると、親子で湯に浮かんだ菖蒲の匂いを嗅ぎ始めました。仕草ややることまで親子は似てきます。さわやかな気分で最終便に乗るため、神戸空港に向かいました。http://kikumoriatsufumi.com/wordpress/wp-admin/media-upload.php?post_id=6009&type=image&TB_iframe=1

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長崎の鯨商・日野会長から久々に水産流通のお話を伺いました

5月4日昼食時に、かねてよりお約束していた日野浩二氏(日野商店会長)とお会いし、ゆっくり水産流通や商売のお話を伺いました。2005年に私との対談録「鯨と生きる~長崎の鯨商・日野浩二の人生」を出版しておられます。長崎を訪れる観光客であふれ、タクシーすら拾えない位の混雑の中で、一旦日野氏のご自宅まで伺い、11時前に一緒に中島川沿いの活け造りで有名な「むつ五郎」に行きました。今まさに旬のカワハギの刺身と肝をいただきました。肝は甘く、この時期格別です。その後、定期的に碁会所にもなっているご自宅に戻り、2階のリビングで、長崎の経済界・水産業界のお話を伺い、また、伊藤裕康氏(中央魚類㈱社長)との思い出の話にも及びました。日野氏は若いころから、大洋漁業・日水両社とも親しくされていたことは、私との対談でも記録されています。今後の日本の水産流通をどうするか、鯨を通じて見て来られた世界の市場・流通機構と比較しながら、日野氏のご経験を踏まえたご意見をお聞きしました。その後、日本の著名投資家・本田忠氏が長崎にお元気でおられることをお聞きし、驚きました。当時と時代は変わっていますが、商売の基本は変わりません。諸先輩から学ぶことはまだまだ多いと思います。

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燃え立つ緑の長崎~「稲佐山青葉に勝る若葉かな」「湯の面(おも)に映る山肌鮎のぼる」

5月3日は連休の後半の始まり。普段纏まった時間が無くてなかなか読めない本を読んだり、書けない依頼原稿や論文を書くにはありがたい時間です。また、様々な案件の打ち合わせを、お互い時間の取れない中で、全国のキーパーソンと電話で長時間意見交換するにも良い休みです。朝から温泉に浸かり、俳句を考えると色んな言葉が湧き出てきます。「岩風呂の鮎にも見えし山の影」。「湯の面(おも)に映る山肌鮎のぼる」。原句は、「掬い取る揺らぎの鮎か山肌か」です。「温泉の露天風呂に浸かっていると、風で湯面が揺れて、映った山肌が、緑の鮎が泳いでいるように見えます。そこで手を伸ばして、湯の中の鮎を掬い取ろうとすると鮎は逃げてしまう。」という心象風景を描きたかったのですが、大分県中津の俳句の大先生は、「17文字ではこれら全てを表現できない」と言われ、句を分けることになりました。でも「湯の面に映る山肌鮎のぼる」は、僕の心象風景を「鮎のぼる」という言葉で見事に表現していただきました(ウルトラC級です)。こんな風景を描こうとすると、俳句は本当に難しい。

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