長崎・東京~「杖ついて坂上り来ぬ濃紫陽花」「大西日コンビナートの火の紅し」

俳句というと風流に聞こえるかも知れませんが、日本の四季の美しさを表現するには最も適した文芸形式だと思います。季語が持つイメージに託することができる点で、季語は俳句の読者との重要なコミュニケーション手段だと思います。長崎と東京は、僕の2大生活拠点。「杖ついて坂上り来ぬ濃紫陽花(あじさい)」長崎は坂が多くて、高齢者が杖をついて階段を上る姿があちこちで見られます。館内(かんない)から東山手にかけての階段、寺町の墓地に上がる階段。その階段を上がりきった所に濃い色の紫陽花が咲いている風景ほど、この時期の長崎らしい風景はないのではないかと思います。所変わって東京の風景。「大西日(おおにしび)コンビナートの火の紅し」夕刻、羽田空港で長崎行きの飛行機を待っているとき、空港の対岸の石油化学コンビナートの3本の煙突から、西日にも負けない位に真っ赤な炎が高くめらめらと上がっているのを見て、「景気がいいんだな」と思う反面、「火事にならないだろうか」などと要らぬ心配をついしてしまいながら眺めていると、搭乗案内が始まりました。季節感のある日本の風景は俳句のゆりかごです。

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