俳句の難しさ・散文との違い~「降る雪や猫より軽き氏素性」

2月22日は猫の日です。大分県中津市の私の俳句の大先生から送られてきた猫の句をめぐり、大先生と昨日からやり取りがありました。「降る雪や猫より軽き氏素性」通常、俳句は解説をつけないものだそうですが、私の疑問は、「猫より氏素性が軽い」ということを言いたいことはわかりますが、「何故ここで雪と猫の組み合わせなのか」「白猫だから雪と同化しているのか」「何故ここで犬でなくて猫が登場するのか」(ソフトバンクのCMには白い犬が登場する)です。これをメールでやり取りしている自分もどうかと思いますが、不思議だと思うのは私だけではないでしょう。大先生からは、次の解説が送られて来ました。「猫より軽き氏素性」は作者自身の存在「氏素性」が猫よりも軽いと喩えて見せています。多少の自嘲が込められているのです。俳句では季語の取り合わせが最も難しく、「や」は切れ字といいますが、「凄い雪だなあ」と詠嘆を表し、意味は一度ここで断絶すると考えた方がいいでしょう。「雪」と「猫」は直接は関係ないのです。こういく句を「二物取り合わせ」とか「二物衝撃の俳句」といいます。何と親切な先生でしょう。俳句は感性で詠むものだと思います。散文でこれだけ字数を必要とする内容を、17文字(音)で表現してしまう俳句は恐るべしです。(画像は奈良市東大寺の戒壇院から二月堂に上がる美しい道。少年の日の思い出の風景。)

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飛行機で読んだ1冊⑥~元祖シンクタンクとしての「満鉄調査部」

2月16日夜、東京から長崎に移動するJAL最終便の中で、小林英夫著「満鉄調査部」を読みました。満鉄調査部のことは、27歳の時に、三井銀行調査部長(常務取締役)だった後藤新一氏(九州大学博士)から、私が部員として教わった、シンクタンクの原型です。私が運営している「ながさき地域政策研究所」や私が主席研究員を務めさせていただいた日本総合研究所も含め、シンクタンクほど、どんな機関・職業であるかを説明しにくい業種はないと思います。「満鉄調査部」は戦前の対中政策の担い手として、平和希求国家日本にとって良くは思われない一面があったことは事実だと思います。ただ、満鉄調査部が多様な人材を集め、自由な議論を通じて、政策を立案し、「調査活動をベースとした日本の経済参謀本部」として活動していたことは事実です(P.6)。これは、戦前・戦後の日本の巨大プロジェクト・構想につながる研究を行った、長崎県壱岐市が輩出した偉人・松永安左エ門(「電力の鬼」・電力中央研究所を設立。)にも相通じるところがあります。私が25歳の留学時、米国シカゴ大学極東図書館(Far Eastern Library)で見た、おびただしい「満鉄調査月報」や関連資料は、戦後アメリカの極東政策の基礎的情報として利用されたものと思われます。石炭・石油(頁岩)・大豆・肥料の生産と港までの鉄道経営の必要性は、当時の経済政策の重要な一部だったことがわかります(第二章)。「客観的な事実を基礎として論理的に仮説を組み立て検証する」という満鉄調査部がとった調査の基本は、今も、シンクタンクや調査機関に生き続けていると思います。(画像は2/15夕方、多良岳の上空から見た島原半島・雲仙と諫早湾干拓地の道路。この後、飛行機は雪を被った阿蘇山の上空・大分県佐賀関の上空を通過。)http://kikumoriatsufumi.com/wordpress/wp-admin/media-upload.php?post_id=5849&type=image&TB_iframe=1

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地域づくりコーデイネータ養成研修成果発表会で審査員を務めさせていただきました~優れた企画案が多い

2月17日午後、(公財)長崎県市町村振興協会・長崎県市町職員研修センター主催の「平成28年度地域づくりコーデイネータ養成講座研究成果発表会」が開催され、審査員として出席させていただきました。佐世保市「キラッとあさごパールステイ・真珠養殖産業を取り巻く周辺地域の活性化」、五島市「CCP510(Camelia-children-present-GOTO)」、諫早市・川棚市・小値賀町「人口減少を食い止めるために、いざ放たん三本の矢(人財の確保による地域経済再生)」が表彰されました。他の7班の発表も企画力に大変優れていたと思います。私からは講評の中で、①地域振興企画によって「地域の何が変わるのか」の明示、②少なくてもいいから「収入があがる」或は「経済効果が生まれる」企画の重視、③一過性の企画より持続性のある企画、の3点をお願いしました。トップの評価を受けた佐世保市の企画は、昔盛んだった同市浅子地区の真珠養殖を再生するもので、養殖業者と民泊ステイ・体験観光を組み合わせた現実的な企画でした。今後、地方公務員の皆さんの企画力・実行力が地域を大きく左右します。研修参加者の皆さん、大変ご苦労様でした。(画像はトップの評価を得た佐世保市の松井哲朗さん・岡崎友里さんの表彰風景。)

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大村市立地適正化推進協議会の最終会議が終わりました~長崎県初の計画策定

2月14日午前、大村市の第3回立地適正化推進協議会が開催され、「大村市立地適正化計画」の最終議論が行われました。この後、大村市都市計画審議会で最終決定されます。立地適正化計画とは、「急速な人口減少・少子高齢化が進展する中、都市全体の構造を見直し、コンパクトな街作りと連携した公共交通のネットワークを形成するため、居住や医療・商業などの暮らしに必要なサービス施設の立地の適正化を図る計画」(国土交通省)です。大村市では、新幹線長崎ルートと新大村駅の新設・在来線新駅の設置、新大村駅周辺開発、長崎空港の24時間化に向けた取り組み、県立図書館建設・併設の市立図書館建て替えなどが急ピッチで進められており、都市機能誘導区域の設定などが不可欠になっています。長崎県では初めての立地適正化計画であるだけに、注目されています。

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中国経済と長崎県(NBCラジオ2017.2.8放送分要約)~米中の経済関係が世界経済を左右する

日本経済・長崎県経済は、戦後の歴史を見ると、造船・観光の両面で、中国の影響を大きく受けて来ました。そこで、中国経済と長崎県の今年の動向について見たいと思います。
中国経済は、昨年は実質GDPで6.7%の成長で、今年はやや鈍化して6.5%成長と予測しています。中国は産業構造を転換中で、民間設備投資が過剰設備の解消のため抑制しているほか、不動産価格も頭打ち傾向が見られます。今年の中国経済の懸念材料は、アメリカの保護貿易ムードの高まりです。中国の輸出額は、2012-2014年に増加しましたが、その後は減少傾向です。中国のアメリカ向け輸出シェアは、18%と高いため、トランプ大統領の通商政策が最大の懸念材料です。
長崎県経済が中国経済の影響を最も受けるのは、今年は観光で、円高・人民元安になると、日本や長崎県を訪れる中国人観光客数が減少することになりかねないと思います。そこで、中国経済がどうなっても観光収入が減らない「強い観光県」となることが必要で、そのためには「競争力のある国際観光都市」となることが必要です。現在、長崎市はインバウンド観光(外国人観光客誘致)のために、DMO(Destination Management Organization)を設置する準備を進めています。DMOとは、その地域の観光資源に精通し、地域と協働して観光地域づくりを行う法人のことで、今後の観光推進の中核となることが期待されます。瀬戸内DMOで進められている、瀬戸内海クルーズや水上飛行機の活用による遊覧飛行もヒントになると思います。

(この記事は、NBCラジオが聞けない全国の地域からのご要望によりブログに掲載しています。)

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デンマーク・デザイン展の最終日に行きました~富永直樹「塗る男」を発見

2月12日夕方、長崎県美術館で開催されてきた「デンマーク・デザイン展」(県美術館・KTNテレビ長崎主催)を最終日に見に行きました。デンマークといえば、26歳の時に行った、コペンハーゲンの王立軍事博物館や、テーブルウエア好きにはたまらないロイヤル・コペンハーゲンの食器類くらいしか知らなかったのですが、アルネ・ヤコブセンのチェアに代表される家具類や、ラースンの皿「ブルーフルーテッドメガ」の食器類など近代的なデザインが目に留まりました。いずれも家で使いたい作品ばかりですが、ある程度大きな家でないと、デザインの良さが光らないと思いました(笑)。いつもは講演を依頼されて会場として来ることの多い美術館ですが、今日は人目につかない片隅に置かれた名品を発見しました(画像)。富永直樹のブロンズ像「塗る男」(1949第5回日展出品)で、作業着の左のボタンを嵌めようとしている塗装工を描いたもので、働く人間に対する富永の温かい目を感じる名作だと思います。「作品が呼ぶ」とはこのことだと思いました。新たな発見に、すがすがしい気分で美術館を後にしました。

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長崎学研究発表会(第1回)に出席~「長崎における炭坑・鉄道・橋梁の観光資源化と活用策」を研究発表

2月11日午前、長崎市長崎学研究所主催・長崎学ネットワーク会議共催による第一回長崎学研究発表会が開催され、長崎学ネットワーク会議理事として出席させていただきました。研究発表は、私からは、長崎近代化遺産研究会理事として、「長崎における炭坑・鉄道・橋梁の観光資源化活用策」と題して研究発表させていただきました。長崎県内の近代化産業遺産の全体像を示し、その中で、世界遺産に登録されている長崎市内の遺産の意味、県北の近代化産業遺産の研究(炭坑・鉄道・橋梁)、長崎市内の近代化産業遺産と県北との違い、近代化産業遺産の「保存と活用」と今後の課題を30分程度でお話しました。長崎の幕末・明治以降の近代化の歴史は、日本の産業革命の礎となったにも拘わらず県内の研究者も極めて少なく、あまり知られていません。学者や学芸員にとっては、「産業・技術史」を始めとして未開の大地が広がっています。県北の近代化産業遺産も、日本遺産に登録された文化財以外は、まだまだ研究されていません。私は、県・市の方針と同様に、研究したものを、観光・教育に活かして、少しずつでも持続的研究ができる体制を作りたいと思います。長崎県内の近代化産業遺産に興味のある方は、是非長崎近代化遺産研究会に参加してほしいと思います。(画像は、長崎学児童研究コンクールで長崎市長賞を獲得した長崎の方言の研究。)

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座談会「明治日本の産業革命遺産~保存と活用を考える」に出演

2月10日夕方、NCC長崎文化放送本社で開催された座談会「明治日本の産業革命遺産~保存と活用を考える」(非公開)にコーデイネータとして出演させていただきました。出席者は、岡林隆俊先生(長崎大学名誉教授)、有馬学先生(九州大学名誉教授・福岡市博物館長、世界遺産登録推進協議会専門家委員会のメンバー)、東川隆太郎氏(NPO法人かごしま探検の会代表理事)でした。主たる内容は、①歴史文化遺産の中で、近代化産業遺産は文化財自体が大きく、保存が大きな負担となるところに特徴がある。②保存:「ヘリテージ・マネジメント」(有馬先生)、「残す責任」など、行政・地域を含めた社会的合意が必要。③活用:保存するために活用は必要。活用の方法は、「観光」と「教育」。「次世代への継承」(学校教育・社会教育)こそ、長期にわたり社会的認知と収入を得る手法。④稼働資産:過去にはなかったカテゴリーの歴史文化遺産。使い続けるという事実自体が貴重な遺産。⑤保存に必要な財源の確保を、国の補助・税収だけでなく、観光客等来訪者から得る工夫をすべき(特に端島)でした。各先生方からも、内容の大変濃い座談会になったとの感想をいただき、収録内容を、文化庁の了解を得て、教育・観光に活かしていきたいと思います。

 

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長崎市企業向け結婚・婚活支援セミナーで講演

2月10日午後、長崎歴史文化博物館で開催された「長崎市企業向け結婚・婚活支援セミナー」で、「結婚できる職場を目指すために~職場でできる婚活支援・結婚できる会社は成長企業~」と題して講演させていただきました。昔と今とでは、結婚観も変わってしまっていますが、企業経営にとって、人材の定着・女性を活かし働きやすい職場が企業が成長するために不可欠であることを話しました。特に最近では人材確保が難しく、結婚し家庭を持つことによる人材の定着とワークライフバランスが大変重要です。企業経営者が従業員のライフプランをお手伝いしている企業も中にはありますが、個人が自由に結婚相手を見つけたいと考える場合、企業をネットワークして、複数企業が共同で婚活パーテイー等を開催することも有益です。イベントをサポートする事業として、長崎県の「めぐり合い事業」がありますが、民間企業でも類似の事業を行なっている例があります。最後に、成果が上がっている長崎市卸団地立地企業の合同婚活パーテイーの例を紹介させていただきました。

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西日本地区大中型旋網経営者研究会・日本政策金融公庫水産友の会講演会に出席~松浦魚市場の整備について研究

2月2日午後、西日本地区大中型旋網(まきあみ)経営者研究会が長崎で開催され、アドバイザーとして出席させていただきました。今回のメインテーマは松浦魚市場の整備で、食の安全・安心と国策である農林水産物の輸出促進のための工場建て替え(閉鎖型市場・HACCP対応)の研究でした。折しも、豊洲市場も閉鎖型市場・HACCP対応を目指しており、多大な関心を持って出席させていただきました。その後、日本政策金融公庫水産友の会主催の講演会(講師:国立研究開発法人水産研究・教育機構理事・水産大学校長の鷲尾圭司氏、テーマ「水産物の付加価値向上」)に出席しました。懇親会では、日本政策金融公庫代表取締役専務取締役・高橋洋氏とゆっくりお話しさせていただきました。水産業の将来に向けた展開について語り合う、有意義な夜となりました。(画像は、水産友の会・旋網経営者研究会合同の懇親会で、日本政策金融公庫・高橋専務取締役と。2017.2.2撮影。)

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