東京都庁市場問題プロジェクトチーム会議第10回(最終会議)に出席~第一次報告書案について

6月5日午後2-4時、東京都庁で市場問題プロジェクトチーム会議第10回がマスコミ公開・インターネット中継の下で開催され、専門委員として出席させていただきました。前回に引き続き、テーマは「第一次報告書案について」で、報告書をまとめる最後の案になりました。卸売市場の在り方・豊洲市場移転案・築地改修案の三部構成となっており、論点整理と、豊洲・築地の将来像がまとめられています。会議の中で、私は、前回に引き続き、豊洲・築地両市場の将来像、中央卸売市場の経営戦略・経営組織・市場会計等の「市場経営」について、コメントをさせていただきました。(画像は6/6日本経済新聞朝刊記事の一部)

1.豊洲市場は、建設済みの施設を使って、「IT化された物流センター」として発展する将来像を描ける。インターネット取引や大手流通業との取引拡大など、「他市場への転送量」・「市場外取引量」(報告書案p.48)が今後も増加する可能性が大きく、この需要を取り込むことによって豊洲市場の取引量もビジネスチャンスも拡大する。築地市場は、「市場内取引量」を対象として、戦前から確立された「築地ブランド」(背後地の銀座・赤坂等の料理屋等に支えられてきた日本の魚食のブランド)を活かした、卸売市場を維持・発展させることができる。ただし、市場内取引量はすでに減少を続けていて、これを早々に底打ちから増加させる必要があり、そのためには、東京オリンピック・パラリンピックを控え、世界に発信する日本食の殿堂・「食のテーマパーク」として発展させることが将来像として必要になる。この点で、豊洲は「量」、築地は「質」を求める市場となる可能性が大きい。

2.これを実現するために、豊洲市場は、物流センターとしてのIT化を、輸送サービスの利便性(トレーサビリテイの担保や荷役の生産性向上)・環境負荷軽減(運行実績管理や輸送管理)を目指して進めることが必要である(P.46)。一方、築地市場は、「卸売業者と多様な卸売業者のネットワーク」という「強みを生かす経営戦略」を実行するために、「市場内取引」を維持・増加させる方策が必要であり、そのためには、①市場経営・企業経営の努力、②卸売・仲卸業者の業界改革、③仲卸業者の新規参入の検討、④卸売・仲卸業者の外資参入の検討を行うことも必要になろう(p.47)。

3.今後の中央卸売市場の発展のためには、市場経営のガバナンスの確立が最も重要で、東京都自体が、市場の経営戦略を中央卸売市場全体と各11市場について策定し、実行計画を始めとするPDCAサイクルを行い、そのために、経営組織を整備することが必要である。中央卸売市場には、経営戦略を企画立案決定する外部有識者も構成員とする「市場経営戦略委員会」(仮称)、その執行機関としての「市場組織」、卸売市場が適法・適正に運営されているかを監査する「市場監査委員会」(仮称)を設置することが望ましい(P.41)。市場経営を維持するための市場再編も、水産・青果・食肉の3つの分野ごとに検討することも必要ではないか(p.43)。

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温泉に浸かって考えたこと④~日本人の得意は柔軟な発想「『福の湯』は街の天辺(てっぺん)山郭公(ほととぎす)」「天辺(てっぺん)の名湯で聴く時鳥(ほととぎす)」

6月4日、久しぶりに長崎でゆっくりした時間を得たので、早朝から福の湯に行きました。温泉は体を温めて免疫力を高め、血圧を下げ、様々な病気の治療に使われます。薬草を湯に入れたり、薬草を煮立てて水蒸気にして浴室で吸い込むというのも治療に使われます。「夏蝶の来て薬湯に身を染むる」夏の蝶ですら疲れて薬湯に浸かりに来ています。ここの温泉は、露天風呂から送電塔の頭を越して眼下に街を見下ろすことができて、鳥や仙人になった気分です。「天辺(てっぺん)の名湯で聴く時鳥(ほととぎず)」「『福の湯』は街の天辺(てっぺん)山郭公(ほととぎす)」鳥や仙人になると、東京都の豊洲問題も、豊洲・築地いずれかというのではなく、それぞれの特徴・強みを活かした土地利用を考える、「第三の道」を考えることも一策だと思うようになります。もちろん、法律や経営・会計の問題をクリアしなければなりませんが、これも工夫次第だと思います。世界の中で、日本人の得意(強み)は柔軟な発想です。僕は頭を坊主にしていることもあり「一休さん」(一休宗純)をLINEなどのキャラクターにしていますが、「その橋わたるべからず」など、頓智が楽しいですよね。一休さんも軍師も、難しい問題や局面程、頓智が必要になるような気がします。

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茂木枇杷(もぎびわ)・猫、そして豊洲の季節~「偉大なる味となりたる友の枇杷」「朧月猫遠吠えの如しかな」「梅雨空や豊洲問題光さす」

6月2日、東長崎の友人が、畑で獲れた茂木枇杷(もぎびわ)を枝についたまま持って来てくれました(画像)。茂木種は日本の枇杷の原種で、果実が小さいのですがとても甘く、素朴な香りが魅力です。「偉大なる味となりたる友の枇杷」(原句:「露地の枇杷鳥突く前に僕が食う」こちらの方は、あまり格調が高くないと思います(笑)。)「朧月猫遠吠えの如しかな」。長崎は猫の街で、少し前からですが、猫が夜中屋根を伝い走り回ったり甘い鳴き声が聞こえて来ます。(原句:「猫が鳴く朧月夜も狂おしく」。)「梅雨空や豊洲問題光さす」。梅雨の季節を前に、東京都中央卸売市場の築地・豊洲問題に光が見え始めました。全国及び東京の市場関係者・都民の皆さんにとっていい結論になればと願います。http://kikumoriatsufumi.com/wordpress/wp-admin/media-upload.php?post_id=6075&type=image&TB_iframe=1

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上田恵三氏(前長崎商工会議所会頭)のご逝去を悼む~社外・経済界外の私を育てていただいた恩人

6月1日長崎新聞・西日本新聞で、上田恵三氏(前長崎商工会議所会頭・長崎自動車会長)の訃報を目にして、驚きもし、ご冥福をお祈りしたいと思います。商工会議所の様々な会議でお会いすることは多かったのですが、それ以外で、今でも忘れられない思い出があります。長崎県の審議会の一つ、「長崎県総合交通計画策定委員会」で、上田氏が会長になられ、私を副会長に指名していただいた時のことです。私が申し上げるのもおこがましいのですが、大変調整能力を発揮され、へき地・離島を抱える長崎県にとって、いい計画を策定させていただけたと思います。議事録にも公開されていると思いますが、バス会社の経営に関しては、委員会の中でも効率性を重視する発言をされ、経営者としての信念を感じました。まだまだご指導いただきたいことが多かったのに、大変残念に思います。言葉もありません。

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講演「古賀十二郎の長崎学」を聞きました~「八仙花古賀十二郎を究めおり」

5月25日夜、平成29年度第1回長崎学ネットワーク会議公開学習会が開催され、会議の理事の一人として出席させていただきました。今回は、長崎市長崎学研究所・藤本健太郎学芸員が「古賀十二郎の長崎学」と題して講演をしてくださいました。古賀十二郎氏(1879-1954年)は、長崎の歴史を研究する際には欠かせない研究家で、「長崎評論」を創刊し、第1期の長崎史談会を組織し、福田忠昭氏とともに「長崎市史」編纂事業に当たりました。長崎市史は大正8年から編纂が始まっており、編修顧問に、三上参次(東京大学)・新村出(京都大学)が就任しており、当時の長崎の歴史研究が全国レベルで行われる契機となりました。「八仙花古賀十二郎を究めおり」。八仙花は、紫陽花の別名。紫陽花は長崎を代表する花で、咲く場所などにより、「七変化」と言われるほど変化する花です。「八」と「十二」を掛けています。「究めおり」は研究を意味します。古賀十二郎のように、一つのことに集中して取り組めることは人間として素晴らしいことです。この長崎学の系譜をどう次世代に継承するかが、長崎の大きな課題です。

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三木市へのミニ吟行(ぎんこう)~「滴りや志染(しじみ)に王の物語」「睡蓮や童の垂れる竿軽く」

5月27日、初めて兵庫県三木市に行った際に、防災公園・三木山森林公園・農業公園(神戸ワイナリー)など、今後の長崎県などの公園施設の運営にヒントになるような施設を、ご案内いただきました。「滴りや志染(しじみ)に王の物語」。三木市防災公園の中にある志染の石室は、「日本書紀」や「播磨国風土記」によると、第20代安康天皇が崩御した後、皇位をめぐる争いが起こり、第21代雄略天皇に斬殺された市辺押磐皇子(イチベノオシワカノミコ)の二人の王子、億計(オケ)と弘計(ヲケ)の兄弟が隠れ住んだ場所と伝えられています。また、ここは、「(窟屋の)金水」と言って、微細藻類の「ひかり藻」が繁殖し水面に浮き上がると、差し込んだ光を反射して黄金色に見える場所としても有名です。「睡蓮や童(わらべ)の垂れる竿軽く」。県立三木山森林公園は、三木市の中心部にあります。広さは、甲子園 球場のおよそ20倍、80万平方メートルで、行くと、いきなり一面睡蓮で覆われた池が目に飛び込みました。白と赤の睡蓮の花が咲いています。その睡蓮の葉の隙間に釣り糸を垂れる子供たちの風景がありました。魚は釣れていないようでした(笑)。自然の生態系を学ぶには最適な公園だと思いました。

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兵庫県三木市「生涯活躍のまち構想」の緑が丘にある事業部を訪問~近畿では1か所

5月27日朝、内閣府が進める「生涯活躍の街」に近畿で唯一指定された兵庫県三木市の緑が丘モデル地区を訪問し、「一般社団法人三木市生涯活躍のまち推進機構」の堂元誠二さんのお話を伺いました。緑が丘在住で町内会活動をされている河合孝幸氏(道路トンネル換気設備開発技術者として著名)にご案内いただきました。三木市緑が丘地区は、昭和45年ころから神戸市のベッドタウンとして、大和ハウスが中心となってニュータウン開発を進めてきたところで、街並みの美しい住宅地です。同機構では、サンロード商店街のコープこうべの近くに「緑が丘事業部」を開設し、コミュニテイ活動の拠点としていく方針です。三木市の強みは「郊外型住宅団地ライフスタイル研究会」を、関西学院大学・関西国際大学・大和ハウス工業・コープこうべ・神戸電鉄・神姫バス・社協・まち協・三木市などが立ち上げ、まちの再生を研究してきている点です。それでも住民が一斉に高齢化してくるため、今は人口減少・高齢化が進んでおり、若者・子育て世代・高齢者を含む人口の社会的移動が求められています。この政策については、長崎県内でも、壱岐市・西海市等が進めており、西海市の協議会については、「さいかい生涯活躍の里づくり基本構想」作りを支援させていただきました。三木市に環境が類似した地域も長崎県内では多いため、医療・福祉施設を含め、学びたいと思いました。(画像は、三木市防災公園内にある公式テニス施設・ブルボン・ビーンズドームの前で。デビスカップ2012など国際試合が行われた。外見は草で覆われた豆の形)。http://kikumoriatsufumi.com/wordpress/wp-admin/media-upload.php?post_id=6053&type=image&TB_iframe=1

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早朝神社にお参りする人の一人に自分がいました~「敬虔なる祈りの宮居(みやい)青葉騒(あおばさい)」

5月24日早朝、東京都新宿区の自宅近くにある須賀神社にお参りに行くと、すでに3人がお参りの順番待ちをしていました。僕は神様と長い時間対話したくて行くのですが、同じようにお参りしたい方が多いのだなと思いました。このような現象「神社参拝ラッシュ」はここ1年位に顕著になっています。「社会的な不安感を反映しているのかも知れない」と思いつつ、お参りをしていると、葉擦れの音が大きくなり、風が強まってきました。「青嵐参り来る人待ち居たり」「青嵐(あおあらし)」で思い出すのは、長崎市出身の世界的なガーデンアーテイスト・石原和幸さんの英国チェルシーフラワーショー受賞作品「青嵐」でした。出品の前に、私の事務所に来られ、主題「青嵐」について説明いただいたことがありました。石原さんの作品は、京都の古刹の自然の庭に、五月の強い風が吹き渡るようでした。大分県中津市の俳句の先生に送ったら早速メールをいただきました。「敬虔(けいけん)なる祈りの宮居(みやい)青葉騒(あおばさい)」。言葉の魔術師(笑)に掛かると、俳句が生まれ変ります。杜の青葉・新樹が風に騒ぐ様子を「青葉騒」と言います。「青嵐」は樹々が大揺れする風のことなので違うようです。

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東京都庁市場問題プロジェクトチーム会議第9回会議に出席~第一次報告書案について

5月24日午後2時から4時半まで、東京都市場問題プロジェクトチーム会議第9回会議がマスコミ公開・インターネットテレビ中継の下で開催され、専門委員として出席させていただきました。今回は、前回に続いて、「第一次報告書案について」をテーマに、14の論点が議論されました。前日から長崎から東京に移動したので、最終資料を24日13時に拝見しました。私の方からは、経営戦略・経営組織・市場会計・物流機能・IT投資・築地のブランド等の論点について10点コメントさせていただきました。市場経営(経営戦略・管理)・市場組織運営・市場会計等についての発言の要点は次の通りです。

1. 東京都中央卸売市場の場所がどこに決まっても、経営組織を整備し、経営改善・経営戦略を実行できる体制を確立していただきたい。経営の主体はあくまでも地方自治体である東京都で(ガバナンスの発揮)、付属機関・連絡調整会議・専門家会議を再編して、意思決定組織・委員会制度導入で、業界やステーク・ホールダーの意見を聞きながら、実効性のある経営戦略・行動計画を策定し、運営していただきたい。その際、「経営は人」であると同時に「経営は数字」でもあるので、客観的な会計数値に基づく、個別の市場管理をしていくことをお勧めしたい。それは、数字が様々な経営努力や経営課題を反映し、問題解決の第一歩となるからである。

2. 戦後の日本のように人口や市場が拡大した時代は、神田→築地→豊洲のように、卸売市場の土地売却益を源資の一部としながら新しい市場を整備することが可能であったが、東京都の人口が2020年のピーク1,335万人から、2100年には713万人にまで減少する推計がある。このような状況下、東京都の地域生産額も日本全体と同様、自然体でいると、0-1%程度の低成長となる時代が来る可能性が大きい。中央卸売市場も、規模の大きさを指向するだけでなく、取り扱い規模が将来的には縮小することを前提にして、市場全体としては再編、市場施設としては、転用の効く、柔軟性のある施設・建物を整備していくことが必要になる。

3. 中央卸売市場の「経営努力」としては、経費削減は第一に必要であるが、近年の冷蔵施設・定温管理の重要性や、機材の大型化を反映して、管理経費が高くなる傾向にあるため、一定の限界がある。一方、公的不動産(PRE)の民間活用が行われるようになってきており、収入の増強を、中央卸売市場を含む管理会社で運営することも可能になって来ている。そのための手法を検討していくことが必要である。

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長崎は美しい枇杷の季節~「海原を褥(しとね)に枇杷の太りけり」

5月22日、長崎から日見(ひみ)トンネルを越えて網場(あば)の長崎総合科学大学大学院に行く途中、橘湾(たちばなわん)を背景に、袋掛けした枇杷の山が美しく見えました。東長崎は茂木枇杷の一大産地です。「枇杷の森白い水玉海光る」「長崎の枇杷の畑は海に近く、急な山に張り付くように広がります。この季節は袋掛けされて白い水玉のように見えます。緑白青のコントラストが美しい。」と書いて大分県中津市の俳句の大先生に見せたら、手を入れてくださいました。「海原を褥(しとね)に枇杷の太りけり」「海を敷布団にして枇杷が育つ」様子を温かい言葉で描いていると思いました。枇杷の香りと甘い果汁が口一杯に広がりそうです。日本語の美しさを感じます。

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