ブレない経営を続けてもうすぐ10年~初心に帰り進化するながさき地域政策研究所を

長崎新聞「うず潮」に2003年9月に掲載されたコラムを再掲いたします。これは拙著「こうすれば地域再生できる」(長崎新聞社、2007年10月)にも収録しております。地方シンクタンクの経営のあるべき姿を追い続けてアッと言う間に9年半が経ってしまいました。県民各分野の皆様のご支援を得て安定した経営を続けさせていただいており、全国から注目されるシンクタンクとなり、感謝しております。今年は設立10年を記念した論集の発行や、「離島研究センター」「県民協働研究センター」の設置を検討しています。地域を発展させる研究テーマや運営についてご意見をいただきながら、進化するシンクタンクをさらに追及して参りたいと思います。「初心に帰る」ために下記を掲載いたします。
私が仕事をしている財団法人ながさき地域政策研究所は、2003年の10月1日で丁度1年を迎えます。この1年、県、市町村、民間団体、大学等の皆様方のひとかたならぬ、暖かいご支援を頂きました。この間、私は「地域に根ざしたシンクタンクとは何か」を模索し続けて来ました。私は大手シンクタンクにも籍を置いていますが、大手シンクタンクと比べて地域シンクタンクには次のような特徴があります。
  第一に、地域シンクタンクの活動は、例えば長崎県内というように、対象地域が限定されていることです。それだけに、地域が抱える多様な課題に真正面から取り組まざるを得ず、言わば「地域と共に考える」ことが求められ、案件を選ぶことが余り出来ません。もちろん、長崎県で起こる全ての政策課題・コンサルテイング案件に十分対応することは出来ませんが、地域内の多様な課題・案件をできるだけ多く取り扱うために、大手シンクタンク等の各専門家とも連携しながら、全国で経験した知恵を長崎県に活かすことが必要になります。
第二に、地域シンクタンクは一般的に小さな所帯ですから、一人ひとりの研究員が政策提言のみならず、個別案件のコンサルテイングを求められることです。これには、個別コンサルテイングを通じて得た情報により、政策提言を抽象的なものに終わらせず、より具体化させるという利点があります。政策立案とは、現実に起きている問題の原因を分析し、解決策を提示することですから、この点で大変望ましいと言えます。
第三に、地域に根を張っているため、地域の政策提言やコンサルテイングに対するより大きな結果責任を負うことです。そのため、提言やアドバイスを第三者的に行うだけでなく、それを成功に導くためのインプルメンテーション(具体的実行)まで含めたコンサルテイングが必要になります。例えば、地域ビジョンを作成するだけでなく、依頼があればそれを実行できるように企業や人の紹介まで行います。
今後、地方分権が、三位一体論を含めて具体化して行くものと思われますが、それは、県・市町村に企画力が求められることを意味します。地域シンクタンクは、行政・議会・NPO(非営利組織)・住民等、地域を形成する方々の意向や地域の特性を踏まえ、実現性の高い政策を提言することにより、優位性の高い地域を作り上げるためにあると考えます。

カテゴリー: 経営   パーマリンク

コメントは受け付けていません。