建築・建設業界の思い出

理容・美容業界と並んで中小企業庁から中小企業白書の委託研究で取り上げたのが建築・建設業界でした。建設業界は請負契約が主流で、欧米のようにコンストラクション・マネジメント(CM)が定着しないため、建設コストを下げられない背景には、リスク負担をゼネコン等元請企業が行っているという事情がありました。業界の経営面の課題として、特に中小建設業の場合、「建設する」ことに主眼があるため、顧客のニーズ把握等は二の次になっている面があり、そのことが建築・建設業界の停滞を招いていると考えました。中には「経営戦略」を明確に示し、主たる顧客層に合致した商品・サービスを提供している建設会社や、地域における市場成長の限界を察知して多角化を早くから計画的に進めて来ている建設会社もあり、そのような優れた企業を中小企業白書に掲載する事例として取り上げたのです(たとえば新潟県の㈱石橋組など)。併せて、建築・建設業界の経営の本が殆どなかったので、建築資料研究社(日建学院の母体企業)から書籍出版のお話をいただき、「革新の経営力、工務店はサービス業だー成長する建設会社の秘訣を探る」(2002年3月)を出版させていただきました。また、建設コストを下げるための仕掛けとして、インターネットを活用した建住宅・店舗等の築設計コンペと資材流通の合理化に取り組んでいる「建築Web」「アルスノヴァ」の森山社長と会い、業界の変革にどう取り組むべきかを考えてビジネス化してきました。建築・建設業界は地域にとってはインフラを作り、人を雇用するという重要な使命を負っているので、いかに経営の安定を図っていくかがどの時代にも問われています。最近では公共工事が財政難から激減していますが、これまで将来に向けた経営努力を払ってきた建設会社は今も成長を続けています。

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