新経済社会システム研究会の思い出

経済産業省大臣官房が2002年6月に発足した「新たな経済社会システムの構想と戦略に関する研究会」(「新経済社会システム研究会」と略)で、私は座長に選出されました。この研究会は、①今日の閉塞状況の根本原因を明らかにし新世紀における新しい経済社会システムビジョンを提示すること、②閉塞状況から抜け出せない要因を明らかにし改革実現のための条件を提示すること、が目的でした。(財)産業研究所とジェミニ・コンサルテイング・ジャパンが作業を支援してくださいました。新世紀の経済社会システムビジョンとしては、A.高い水準の経済成長を前提としない低成長時代に適合したものであること、B.環境やエネルギー制約に適合したものであること、C.社会の規律を高めるものであること、D.技術の進歩に適合し、産業構造の移り変わりに円滑に対応するものであること、E.公平と効率が同じく追及されその均衡が図られるものであること、F.多様性からの利益を享受できるものであることを要件とし、所得再配分政策、規制政策・対外経済政策、マクロ経済政策に分けて政策提言しました。また、改革の実現に向けて、①国民における危機意識の浸透、②改革を不可避とする外圧の存在が重要であるとの結論に達しました。9年前のこの時に議論されてまとめられた方向性で日本社会は進んでいますが、具体的・効果的な政策を出していくことが求められています。私はこの時、国政レベルを動かすことの難しさと地方自治から変えていくことの重要性と可能性を痛感し、2002年10月から長崎県庁のお誘いがあり、(財)ながさき地域政策研究所の調査研究部長として長崎県に来ることになったのです。

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