東京都庁市場問題プロジェクトチーム会議第9回会議に出席~第一次報告書案について

5月24日午後2時から4時半まで、東京都市場問題プロジェクトチーム会議第9回会議がマスコミ公開・インターネットテレビ中継の下で開催され、専門委員として出席させていただきました。今回は、前回に続いて、「第一次報告書案について」をテーマに、14の論点が議論されました。前日から長崎から東京に移動したので、最終資料を24日13時に拝見しました。私の方からは、経営戦略・経営組織・市場会計・物流機能・IT投資・築地のブランド等の論点について10点コメントさせていただきました。市場経営(経営戦略・管理)・市場組織運営・市場会計等についての発言の要点は次の通りです。

1. 東京都中央卸売市場の場所がどこに決まっても、経営組織を整備し、経営改善・経営戦略を実行できる体制を確立していただきたい。経営の主体はあくまでも地方自治体である東京都で(ガバナンスの発揮)、付属機関・連絡調整会議・専門家会議を再編して、意思決定組織・委員会制度導入で、業界やステーク・ホールダーの意見を聞きながら、実効性のある経営戦略・行動計画を策定し、運営していただきたい。その際、「経営は人」であると同時に「経営は数字」でもあるので、客観的な会計数値に基づく、個別の市場管理をしていくことをお勧めしたい。それは、数字が様々な経営努力や経営課題を反映し、問題解決の第一歩となるからである。

2. 戦後の日本のように人口や市場が拡大した時代は、神田→築地→豊洲のように、卸売市場の土地売却益を源資の一部としながら新しい市場を整備することが可能であったが、東京都の人口が2020年のピーク1,335万人から、2100年には713万人にまで減少する推計がある。このような状況下、東京都の地域生産額も日本全体と同様、自然体でいると、0-1%程度の低成長となる時代が来る可能性が大きい。中央卸売市場も、規模の大きさを指向するだけでなく、取り扱い規模が将来的には縮小することを前提にして、市場全体としては再編、市場施設としては、転用の効く、柔軟性のある施設・建物を整備していくことが必要になる。

3. 中央卸売市場の「経営努力」としては、経費削減は第一に必要であるが、近年の冷蔵施設・定温管理の重要性や、機材の大型化を反映して、管理経費が高くなる傾向にあるため、一定の限界がある。一方、公的不動産(PRE)の民間活用が行われるようになってきており、収入の増強を、中央卸売市場を含む管理会社で運営することも可能になって来ている。そのための手法を検討していくことが必要である。

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