2015年新年に思う~「人」が課題―「働けるうちは働く」ことが社会貢献でもある

元旦に新宿区の自宅近くの須賀神社に初詣に行き、清々しい気持ちになって雑煮と御節を食べると、心が改まります。エコノミストである私にとり、2015年が戦後日本経済の中でどういう位置にあるのかを考える良い機会です。2012年末に始まったアベノミクスは金融緩和と適度の財政出動により20年間近く続いたデフレを脱し、緩やかな成長を続けています。2014年4月からの消費増税により、物価上昇が進み、実質可処分所得が減少し、個人消費が落ち込んできたので、次の消費増税は延期になりましたが、タイミング良く成長の持続に向けた機会を得たといえますが、財政規律の維持と適度の財政支出のバランスをとりながら、景気回復に向けた舵取りを行うことが必要となっています。金融緩和と財政出動を続けても、景気回復の障害となりかねないのが、「人手不足・人材不足」による供給制約だと思います。一時の逼迫感はなくなり、建設業界の人手不足は緩和されていますが、オリンピックに向けた公共工事や民間建築が増加すると、再度人手不足になると思います。人手不足の問題が深刻なのは、製造業・建設業にとどまらず、サービス業全般に及んでおり、しかも大都市だけでなく、地方都市でも人手不足が起こっているということなのです。政府は、女性労働(専業主婦の社会進出)や人材の流動化(相対的に生産性の低い産業から生産性の高い産業へのシフト)により、人手不足を緩和しようと考えていますが、これとあわせて、健康に問題がなければ高齢者層・高齢者予備軍(60歳以上)に出来るだけ社会参画してもらうこと、現役世代は出来るだけ長く働くことが、人手不足・人材不足を解消する方法ではないかと思います。企業にとっては、高齢者雇用に適した機械化・IT化・ロボット化による生産性の向上が必要となりますが、接客・クレーム処理など「人でないとできない」部分、人生経験豊かな高齢者に向いている部分が、サービス業には必ず残ります。地方の人手不足は極めて深刻で、鉄筋工・左官といった専門職だけでなく、販売・事務職までが人手不足になりつつあります。外国人の採用の前に、まず、日本の高齢者の雇用を優先して考えることも、経済成長には必要だと思います。(画像は東京新宿区・須賀神社)

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