私にとっての「経営戦略」~「ストーリーとしての競争戦略」を読んで考えたこと

若いころを振り返れば、私にとって「経営戦略」は永遠の課題でした。アメリカのビジネススクールで経営戦略を学んだ頃、都市銀行で経営戦略作成に携わっていた頃、中小企業診断士の資格を取ってから大企業や中小企業の経営戦略作りを支援していた頃、金融庁の研修で「銀行の経営戦略」を教えていた頃、長崎大学大学院(ビジネススクール)で「経営戦略論」を教えていた頃、そして公益法人や非営利組織の経営に携わる経験を通じて、私の関心の中心は常に「経営戦略」でした。それは、実際の経営の中に、「経営戦略」を取入れることにより、環境変化に適応して企業・組織の効率的な成長軌道を描くことにより、適正な利潤を得て雇用を創出し、公的使命を果たすことができると考えたからです。そして、「経営戦略は理論よりもアート(芸術)だ」と考えるに至ったのです(論理の積み上げからだけでは戦略は作れない)。それは間違ってはいなかったのですが、6月7日、楠木建(くすのき けん)氏の「ストーリーとしての競争戦略」を読み、経営者が従業員や社会を巻き込みながら戦略を遂行し、成果を上げるためには、「戦略の動的ストーリー」が必要だということを強く感じ、長崎から佐世保の長崎県立大学に講義に行くバスの中で、500ページのこの本を一気に読んでしまいました。アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏の「戦略ストーリー」も企業の成長経路を考える上で、参考にすべきと思いました。実はこの手法は、私が若い時から携わってきた経済・金融予測シナリオを作るのと極めて似ています。動態モデルであっても、経済予測には定量モデルよりも、「シナリオ作り」の方が現実的だし、予測が的中する確率も高いのです。この本は、学者の著作でありながら、学者の本を超えているところに、現実的な面白さがあります。

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