キトラスという名の拠点~1年を振り返って

福岡に総合的アンテナショップ「キトラス」が開業して1年が経過しました。設置の原点に帰るため、2010年10月長崎新聞「うず潮」に私が公表したコラムを再掲いたします。
 十月二日、長崎・佐世保・雲仙三市によるアンテナショップ「キトラス」が福岡市博多区川端商店街の入り口に開店しました。これは二年前、私が長崎市に提案し、賛同を得て、三市と当研究所で検討・準備を重ねてきた企画です。若い時に、私の職場に近い東京・有楽町の鹿児島県のアンテナショップが物販と飲食を合体した店として長期にわたり成功を収めてきたのを目の当たりにしてきたことがきっかけでした。そこでは、当時から居酒屋風の店で薩摩揚げや黒豚を手頃な価格で食べることができる店で、金曜日など若いサラリーマンであふれていました。関西出身の私には鹿児島の蒲鉾や黒豚が珍しく、食のレベルの高さを感じていました。これは物販だけの店では達成されなかったことだと思います。
 一方、レストランの経営を考えた場合、物販で新鮮なうちに売れ残りそうな食材をすぐにレストランで付加価値の高い料理に使うことが、効率性を高め、黒字維持のために有効であることは、農産・水産直売所や自然食レストランの経営事例が示している通りです。
 一定のコストを掛けてでも長崎県の常設の物販拠点を持つことは広告料と割り切れば可能ですが、地方公共団体の財政が厳しくなる中で、できるだけ持続可能な業態つくりが求められています。そのためには、やる気と能力のある民間企業に参画していただいて、経営を効率化することが必要になります。従って、キトラスは小さなアンテナショップですが、全国の他の同様の施設にはない組合わせ(物販・飲食・観光)と経営モデルを採用した先端的な拠点なのです。
 また、表に見える物販(小売り)だけでなく、全国で最も成功している沖縄県物産公社のビジネスモデルを参考にして、福岡の流通に精通したコーデイネーターを採用し、三市の産品の卸売(大手流通向け販売)拡大のための販路拡大も同時に進めています。
 三市を始めとして、まず福岡市場でキトラスを拠点としながら、物流・人流を拡大していくか、壮大な実験が行われようとしています。皆さんも是非行ってみてください。

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