飛行機で読んだ1冊②~「田中角栄・魂の言葉88」

2016年は田中角栄の人物としての再評価が行われた年だったと思います。12/24の東京から神戸経由長崎への飛行機で読んだのは、昭和人物研究会「田中角栄・魂の言葉88」でした。これまでロッキード事件の記憶があるので、評価が分かれるところだったと思いますが、政治家としてのリーダーシップの在り方や、現代人が失った大事な「人の心を尊重する」ということを改めて教えてくれているような気がします。田中角栄の人物を形成したのは、お母さんのフメさんだったと感じました。秘書・早坂茂三の記述に「角栄が54歳で内閣総理大臣に指名された日、テレビにクローズアップされた角栄の貌(かお)からは、とめどもなく汗が噴き出していた。母フメは紋付羽織でテレビの前に正座し、倅(せがれ)の顔を見ていたが、汗びっしょりである。フメは黙って袂から手拭いを取り出し、画面に映る息子の汗を拭き始めた。部屋に溢れた人たちは、初めそれを見て笑い声を漏らした。が、やがて人々の間から無遠慮な笑いが消えてそれが忍び泣き、すすり泣きに変わり、部屋全体に広がっていった。」というくだりがあります。現代では地方から苦労して立志伝中の人物になって政治家を志すという人物はほとんどいないと思いますが、国家ビジョン達成のために、「人の心を尊重する」ことが、人を動かし、官僚を動かし、国を動かしたのだということがよくわかります。若い人に田中角栄のことを話したら、「昭和な話」と笑われそうですが、人間の本質は変わりません。

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