西日本新聞モニター紙面評価コラム「地方財政と分権改革」~社会保障改革と並び必要になる議論

2月17日の西日本新聞「モニターの紙面評価」欄に第28期モニターである私の最後の記事「地方財政と分権改革、真正面から」を掲載していただきました(画像)。今は、安倍政権下で「三本の矢」議論を進めることは日本の経済政策の根幹を成す部分で国力を高めるための優先事項です。その背後には、国家財政・地方財政、社会保障改革、国と地方関係(分権改革)と言った、国民生活を大きく左右する基本政策が横たわっています。今回の記事は、典型的な地方であり、道州制の議論を進める可能性の大きい九州において、財政・地方分権を読者と一緒に考える場をマスコミが提供することの必要性を書かせていただきました。西日本新聞の地味な努力を高く評価しています。現状、県・市町の財政は地方交付税次第で大きく変わり、今後さらに合併市町については、合併算定替えの影響で、財政規模の大きな市町ほど大幅な歳出削減を余儀なくされます。かつて夕張市破綻の際に財政再建が注目されましたが、住民への行政サービスを極力削減しないで財政改革をどう進めるかの工夫が再度求められます。また、いずれ財政の最大部分となる国・地方共通の課題として、このコラムでもかつて取り上げさせていただいた社会保障改革も必要になります。ただ、知恵を働かせて、今から準備すれば、円滑な行財政運営ができることも、欧米の成功例を見れば明らかです。悲観的になることなく、国民・住民が認識して有効に対処することが必要で、行政と並んで、我々シンクタンクやマスコミの役割も大きいと思います。

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「海・潮風・塩」を活かした島作り~島根県隠岐郡海士町長の講演を聞きました

2月18日、長崎県市町職員研修センター「地域づくりコーデイネーター養成研修・研修成果発表会」で、島根県隠岐郡海士(あま)町山内道雄町長の講演「離島発!地域再生への挑戦~最後尾から最先端へ~」を聞きました(画像)。その後、発表会の審査員を務めさせていただいたからです。山内町長の話は、「海・潮風・塩」の地域資源を活かして東京市場向け物産開発・観光客誘致(ホテル経営)により外貨を稼ぐことの重要性や、役所職員の意識改革の進め方、離島留学制度大成功の要因等について、海士町の貴重な成功経験を踏まえてお話しいただきました。研修成果発表会では、8つの市町役場グループが、政策企画提案を競うもので、いずれも優れた企画を発表し、特に、大村市・川棚町・波佐見町グループによる「田舎の資源で人を呼び込め!!~再生可能エネルギー固定価格買取制度を活用した過疎集落における定住人口増加策の検討」が熟度の高い企画だと思いました。これは、大村市黒木(くろき)町の過疎対策のために、幼い子供がいる世帯に移住してもらうため、「黒木子育て応援手当事業」(移住した世帯等の子供1人に対して月1万円を手当てとして支給する」もので、その原資を、小規模水力発電の売電により調達するところが企画のユニークさでした。基礎的自治体の政策企画能力が大きく問われる時代を迎えて、若い役所職員の健闘が期待されています。

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エネルギーシステムインテグレーションをどう設計するか~これからの日本経済を大きく左右する政策

2月16日午後、長崎総合科学大学大学院「緑の知の拠点事業」シンポジウム(文部科学省大学発グリーンイノベーション創出事業)が開催され、同大学の田中義人教授からのお誘いをいただいたので、出席させていただきました。私は、長崎県地球温暖化防止活動推進センター長でもあり、九州電力から情報もいただいているので、東日本大震災で議論の前提が大きく変わってしまった日本のエネルギー基本計画やCO2削減計画をどう収束させるのかに関心があり、基調講演をされた東大生産技術研究所エネルギー工学連携研究センター荻本和彦教授の「エネルギーシステムインテグレーションー電力需給の将来ー」から学ぶものが多かったと思います。エネルギーの将来像について幾つかのシナリオが提示され、「原子力開発中止40年廃止、火力の一定増強、V(太陽光発電)80GW、WIND(風力発電)28GW」の組み合わせが現実的で、PV+WINDの比率が15%程度になり、この場合、年間の発電費用が現状よりやや大きい6兆円程度で安定するというシミュレーションが出されました。また、太陽光発電・風力発電の最大の課題である、出力変動に対応する技術として、供給側だけでなく、需要側で需給調整をする必要性とそのための技術革新についても説明があり、理系的文系である私には良く理解できる話でした(笑)。次に、長崎大学大学院工学研究科の黒川不二雄教授による「グリーンイノベーションのためのスマートパワーエレクトロ二クス技術」と題した講演があり、再生可能エネルギーで発電したエネルギーを送電線から送るための技術や家庭で活用するための技術BEMS+HEMSの最先端について話があり、私が個人的に注目している愛知電機(愛知県春日井市)のスマート技術とも関係するので、興味深く聞かせていただきました。再生可能エネルギー・エネルギー政策とこれを支える技術は、これからの日本経済を大きく左右するので、エコノミストとしても注視し、提言していきたいと思います。(画像は東大荻本教授の講演風景。)

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地方からの「成長戦略」を考える~規制緩和・交易拡大・高付加価値化が成長を促す

2月15日、政府の規制改革会議が開催され、健康・医療、エネルギー・環境、雇用、創業・産業の新陳代謝の重点4分野について検討が始まりました。安倍政権の「三本の矢」のうち「成長戦略」をどうするか、今週、アメリカの有力紙が「関心を持っている」と書くなど、成長戦略はむしろ海外の政府・マスコミ等から注目されています。日本の人口が減少し、未曾有の高齢化が進む中で、どのように成長戦略を描くのか、関心を持たれている理由は良くわかります。しかし、日本でも地方はすでに経済停滞が進行していて、どのような政策を打てばいいかは、政策面で実行してきた地方が良くわかっています。これまで地方は予算面などの制約があったので、自由な戦略を実行することは難しかったのですが、何をすればいいかは経験済みです。経済成長を促すには、民間の力を引き出すことが基本で、①規制緩和、②交易拡大、③高付加価値化、④創業・起業が不可欠です。地方からの発想を交え、副作用を起こさせないように、どのように3課題に取り組めばいいのかを、NBCラジオ「おはようコラム」で2月20日・27日の2回にわたり取り上げます。(画像は私が訪問した東京都千代田区の大手エネルギー開発企業の玄関にあるスマートシテイの模型。シェールガスを含め、エネルギー革命によって経済成長が促進される面もある。)

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カジノ論議が本格化してきます~九州・アジア統合型リゾート構想について、長崎経済同友会で講演させていただきます

2月20日、長崎経済同友会で「カジノを含む九州・アジア統合型リゾート(IR=Integrated Resort)構想」と題して講演をさせていただきます。IR法案が遅くても秋の臨時国会には上程される可能性が大きく、既に超党派で議論されてきてる内容です。これは、昨年6月に西九州統合型リゾート研究会有識者委員会(私が委員長をさせていただいている)で安徳勝憲長崎国際大学教授、中條辰哉大阪商業大学アミューズメント産業研究所研究員、桃井謙祐長崎大学准教授と事務局でまとめた構想です。IRの議論がともすると東京・大阪を中心となりがちなのに対して、地方が自然・歴史文化・食等の地域資源を活用しながら、IRを形成していくという発想がもっと必要だと考えます。カジノについても、ラスベガスやマカオと言った巨大な施設を想定してしまいがちですが、もっと地域に根差した社交場でもあるような、モナコ・ドイツ・スイス・オーストリアのようなヨーロッパ型やアメリカのインデイアンカジノ等民族的な多様でかつ集客力のあるカジノが日本にあってもいいとさえ思います。そのためにも、長崎経済同友会では、カジノとは何かからご説明をして、経済界の方々にも理解を深めていただきたいと思います。

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アレルギー体質の方向けの食材・料理に取り組む佐々町GARAMの中川さんにお会いしました

2月8日午後、長崎県佐々町で、町の支援も受けながらアレルギー体質・高齢者向けの食材・食事を積極的に開発している、レストランGARAM経営者中川浩一氏ご夫妻にお会いしました。佐々町は、昔から田園風景が広がる農村地帯で、豊富な食材を生み出す町で学童農園が運営され、アリアケジャパン(東証一部上場)、北村製茶(全国に無農薬茶を出荷)など食関係の有力企業や農園が立地しています。また、佐々川のシロウオでも知られています。アレルギー体質の子供・成人向けの食材・料理には大きな潜在的ニーズがありますが、小麦・卵・甲殻類が使えないなど、症状に合わせた対応が必要で手間暇かかるので、家庭で料理を作るのも大変との声が聞かれます。卵や小麦粉を使わないオムライスやタルタルソースなど、知恵と工夫が必要です。家庭での調理の省力化を図れれば、子供たちや高齢者の食事作りが楽になります。ここまで完成度の高いアレルギー食は全国でも例がなく、このような取り組みをいかに採算のとれるようにするか、料理や流通の専門家を交えて課題を一緒に考えていきたいと思います。(画像はアレルギー体質の方々向けの食事。卵・小麦粉を全く使っていません。米粉も使うのでもちもち感がありました。料理レシピは秘密ですが、完成度が高かったです。)

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長崎ランタン祭り始まりました~中国文化と日本文化が融合した美しい街

2月10日から長崎ランタン祭りが始まりました。長崎は中国文化と日本文化が融合・一体化した美しい街です。新地中華街のど真ん中に住んでいる私にとっては、普段の静かさは消え、ランタン祭り期間中はあふれる観光客の喧噪を聞きながら暮らすことになります(笑)。でも長崎中華街には普段でも若い従業員があふれる「活気」という不思議な魅力があります。三代以上長崎に住んでいる新地の住人には今でも中国国籍の方もおられますが、日本人と変わりありません。10日午後5時に無料参拝となった、大浦の孔子廟に行きました。孔子・孟子等が祭られていて、人があふれていましたが、孔子廟から外を見ると、今では長崎でも珍しくなった街中で100年以上続いている銭湯「日栄湯」が見え、信仰の場の孔子と銭湯のコントラストが面白く感じられました(画像)。孔子・孟子も中国で銭湯に入ったのでしょうか。中華街近くの館内(かんない)(江戸時代には唐通事が住んでいた。長崎では慶長9(1604)年に最初の唐通事が任用された。)にも銭湯が残っており、私も湯に浸かったことがありますが、中は日本風の銭湯でした。じっくり見ると、ランタン祭りにも美しいだけでなく、出島時代からの中国人の歴史や中国雑貨の買い物などいろんな魅力があるので、全国から暖かい長崎に来て頂きたいと思います。

 

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長崎県佐々町「町制70年の歩み」試写会に参加して~炭坑と旧国鉄機関車区の街

2月8日午後、長崎県佐々町で制作中のDVD「町制70年の歩み(仮称)」の試写会に出席させていただきました。佐々町は私が9年前から行政改革委員長・顧問を務めさせていただいている自治体で、平成の大合併で合併はしませんでしたが、地道な歳出削減と収入増強(アリアケジャパンを始めとする企業誘致・物産振興等)基金積み立ての努力を続けている堅実な土地柄です。西九州自動車道南側の最終インターチェンジができて企業進出がさらに進みつつあり、今後急速な発展が期待される地域です。DVDのメインテーマは「炭坑と旧国鉄機関車区の街」で、江戸時代から採掘されてきた中小の炭坑が13もあり、石炭を運ぶ港と鉄道が発達してきたかつての先進地域です。小さな鉄道会社を買収してつなげてできたのが国鉄松浦線で、現在の松浦鉄道へと変遷を遂げます。炭坑の歴史は鉄道や石橋や港湾の歴史でもあり、この作品を見ると、炭坑により町がどのように発展してきたか、手に取るようにわかります。使用されている資料も、かつての炭坑関係者や町民に広く求め、全国から収集されていて、真摯な姿勢が感じられ、資料的価値もあるDVDに仕上がっています。住友財閥が経営した「芳の浦(よしのうら)炭坑」を始め、神田(こうだ)炭坑、報国炭坑、江里(えり)炭坑、佐々炭坑が貴重な写真や短編映画とともに蘇り、3D映像で再現した蒸気機関車や、一時期走っていたレールバスも鉄道ファンならずとも見たい貴重な資料です。3月末には完成しますので、県北の炭坑跡は坑口やボタ山すらわからなくなっていて、私が理事を務める長崎近代化遺産研究会でも鑑賞したいし、石炭を見たこともない県北の小中学生にも見てもらいたいと思います。歴史に学ぶものは極めて多いのです。(画像は、現時点では著作権の問題があるので掲載できないのが残念です。)

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製品・商品やサービス・知恵の生産こそ地域発展の基礎~安心な生活・子育てができる所得の定住地域を作る

地域経済をエコノミスト・政策アドバイザーとして10年以上にわたり見ていると、「雇用」こそが地域経済・社会の安定と発展をもたらすことを痛感しています。定住人口が増加する地域を作ることが理想ですが、それができない場合でも人口の自然減を緩和するような政策的誘導を図ることが必要です。定住人口を増加させるためには、安定的な生活と子育てができる雇用・所得の維持・増加が不可欠で(自営業を含む)、そのためには、製品・商品(物作り・一次産業)やサービス・知恵の生産と販売を基本にしなければなりません。交流人口の拡大(観光など)は、こうした基盤の上に立って展開すれば、大きな雇用と所得が得られます。呼び込んだ観光客に買い物・宿泊・飲食等の経済活動をしてもらわなければ、定住人口の拡大・地域経済の発展につながりにくいのです。例えば、医療観光(medical tourism)や健康観光(health tourism)は今後の観光の主流となると思いますが、ただ温泉があるだけでなく、地域産業(医療福祉産業・食加工業等)の基盤がなければ、ただ観光客が通過するだけの地域となってしまいます。観光客を満足させられる時流に合った土産物を提供できない地域も多いのが現実です。私は、多くの地域にとって、地場産業・企業誘致の推進がまだまだ足りないと思います。例えば、長崎県では、県央(大村市・諫早市・東彼杵町)・長崎市・佐世保市・佐々町・波佐見町・松浦市にはオフィス・工場を誘致または開発できる土地と立地の優位性があります。地域に住み続けたい若者を地域で雇用できることが、まず第一歩だと思います。自治体の予算は、国の「成長戦略」に沿いながら、雇用・所得を生み出す次の産業基盤を作るための投資を優先させることが重要だと思います。「過去の遺産」の活用だけでなく「未来の資産」である若者や子供を育てられる地域にしたいものです。(画像は長崎県新上五島町の公設民営の南欧風リゾートホテル「マルゲリータ」。東京の企業のホテル経営ノウハウで新たな観光客の誘致だけでなく雇用も創出した。2012年12月20日撮影。)

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企業を成長させる秘訣「15年間で50億円企業を作り上げた社長の発想」~長崎で小西正行氏が講演されます

2月23日夜18時半、㈱CONY JAPAN小西正行社長を長崎にお呼びして、長崎歴史文化博物館1階会議室で講演していただきます(もちろん無料)。同社は、「人間を大切にする経営」に徹し、従業員一人ひとりのモチベーションを高めて早期戦力化し、工務店・リフォーム企業として15年間連続増収を続け、売上高50億円の成長企業を作りあげてきました。この過程では、成功も失敗もあり紆余曲折がありましたが、優れた先人に直接会い、その知恵に学び、海外の経営者や新しいビジネスモデルを猛烈に勉強して来たことは、著名経営者の割には知られていません。多くの企業経営者と交流してきた私から見て、小西氏は「未完の大器」であり、スペースアップ(住宅リフォーム)だけでなく、ソリューション(組織コンサルテイング)、介護・予防医療、九州の食専門の飲食業等の環境改善事業等を通じて、「フォー・ハピネス(four happiness)」を実現しようとしている姿は、多くの若き経営者にとっても「ともに学ぶ」存在であると思います。同氏にとって50億円は一つのステップに過ぎませんが、堅実な(石橋をたたいて渡る)現場主義に裏付けられた「脱歩合給・理念浸透型経営・新卒採用」という画期的な経営スタイルによって、今後どこまで成長を促進することが可能かを見守っていきたいと思います。今、国が進めようとしている「成長戦略」の一つの形を見ることもできると思います。土曜日夜の講演となりますが、長崎県の多くの経営に関心を持っている方々に聞いていただき、小西氏と直接、会話をしていただければと思います。

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