長崎経済同友会・委員会でスーパーメガリージョン形成後の地域について議論

2018.7.23午後、長崎経済同友会「北部九州経済圏検討委員会」で、「スーパーメガリージョン形成後の地域」について議論され、私がアドバイザーとして出席させていただきました。これは、リニア中央新幹線開通後、東京ー大阪間がいずれ1時間余りと短縮され、東京ー福岡の大都市圏が4時間で移動できるようになるに伴い、世界的に見ても、人口・経済・イノベーションの観点から、北米の4か所、EUの3か所と並ぶ巨大な地域が生まれます(リチャード・フロリダ「クリエイテイブ都市論」)。その際に、長崎県が、佐賀県・福岡県と一体の地域として、経済発展を遂げる必要が出てくると考えられ、具体的にどうするかを議論する委員会です。これまでも、私は、国土交通省「国土形成計画」に関し、九州新幹線の工事が進む中で「活力ある経済社会を目指す検討小委員会」のゲストスピーカーとして「シンクタンカー」の意見を申し上げてきました。今はさらに地域がグローバル経済に取り込まれざるを得なくなってきている中で、九州北部地域の将来像を描いて戦略的に行動することが必要となっています。極めて現実的かつ重要なテーマの一つであり、各委員等の意見を集約していかれたらいいと思いました。

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暑い夏の始まり~気温も経済も

今年の夏は、早くから始まりました。昨年まで14年間使っていた扇風機が壊れて、新たな扇風機を購入したのはいいですが、取り扱い説明書を読んでも組み立て方が解らず、やっとファンを軸に取り付けました。暑さに間に合った。まるで、少年時代のプラモデルのようです。「プロペラをはめ螺子(ねじ)締めて扇風機」夏は、渓谷の清流に涼を求めるのも良いです。「カラカラと径(みち)駆け下る涼しさや」乾ききった白い道から川への径を降りると、そこには緑のトンネルの中のせせらぎという別世界がありました。今年の経済は、この夏くらいまでは暑いと思います。アメリカ経済次第であると思いますが、来年後半は変調を来すリスクもあると考えます。熱中症に気を付けて過ごしたいものです。

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災害の増加に思う~想定以上の災害にどう「速やかに」対応するか

2018.7.11午後、テレビ長崎第529回番組審議会が開催され、番組審議会会長として出席させていただきました。今回は、27年前の雲仙普賢岳噴火災害からの復興を描いた「復興の桃~普賢さんとともに」の審議をしました。南島原市深江町の農家が、大火砕流災害でいったんは農業をあきらめかけたけれども、火山土の土壌に合う「桃」を栽培し始め、今は息子が手伝い、その子2人を育てて、農業を続けようとしているという内容の25分番組でした。6月上旬の大阪北部地震、7月上旬の西日本豪雨災害と、立て続けに自然災害が起こっており、亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、犠牲になられた方々をお見舞い申し上げます。7月6日の長崎は朝から大雨で、夜の思案橋での飲み会でも、皆さんが、1982年の長崎大水害を思い出されていました。あの時は、長崎市銅座で飲んでいたら、足元から水が上がって来て、1階では危険と感じ、2階に上がったり、高台に逃げたということです。今回も大雨が続き、満潮と重なっていたら、危険が高まっていたかも知れません。火山噴火や地震と水害とでは、避難できる時間に差があるので、対策も異なりますが、安全な場所に「早く逃げる」ことも重要な対策です。7/11の大阪府松井知事の定例記者会見の録画を見ていると、南海トラフ地震に関し、「防潮堤等ハードを整備しても、大阪府ではなお、24,000人が危険に晒されるので、兎に角逃げてください。」と言われていました。記者からは「独居老人等はどうしたらいいのか。」といった質問もありました。災害発生時、「社会・コミュニテイとして、どれだけ速やかに安全な場所に避難することができるか。」は大阪府だけでなく、全国の課題です。あらかじめ災害種類ごとに避難方法・経路を決めてあるとは思いますが、平時から住民の方々に徹底していただくことの必要性を改めて感じました。また、国際的な観光都市である長崎の場合は、観光客への周知も必要となります。災害は忘れたころにやってきます。

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南島原ひまわり観光協会10周年記念パネルデイスカッション「世界文化遺産を活かした街づくり」

2018.6.25/16:30から、一般社団法人南島原ひまわり観光協会設立10周年記念事業「世界文化遺産を活かした街づくり」に、ファシリテータとしてお招きいただきました。6/29-7/1に予定されているユネスコの審査委員会を前に、「原城跡」を構成資産として有する南島原市は、大いに期待が高まっており、パネリスト・会場一体となって、熱いデイスカッションが繰り広げられました。

原城跡は、遠くから見ると、天守閣があるわけではなく、ただの丘に見えますが、1637年島原の乱というキリシタンを中心とした農民一揆と幕府軍の勝利を機に、220年以上にわたるキリシタン潜伏の歴史が始まることになります。立てこもった3万人以上の農民が、原城で亡くなり、しかも、幕府は、城の痕跡をできるだけ残さないように、石垣を破壊しました。その後、幕府は小豆島等からこの地への移住政策を進め、入植させるという特異な歴史をたどることになります。原城跡の発掘が行われ、破壊された石垣や階段、おびただしい人骨とともに、十字架・ロザリオ等が出土しています。この発掘の様子を、「有馬キリシタン遺産記念館」のレプリカで見ることができます。

パネルデイスカッションでは、各パネリストのお立場から、ガイド・民泊・食・交通・天草との連携ツアー等の点が議論されました。協会では、南島原観光の「10年後のあるべき姿」として、「無い物ねだりではなく、あるもの磨きで観光地づくりを目指す」という観光戦略が策定されています。私の総括は以下の通りでした。協会・パネリスト・会場の皆さん、大変御苦労さまでした(画像は、原城跡から海を望む。)。

○総括

1.世界遺産は郷土が誇る「世界の遺産」:世界への情報発信力を高める。

2.世界からの観光客誘致受け入れ体制:

(1)広域的な観光ルート化:長崎・南島原(島原半島)・天草の連携

(2)ガイダンス機能の充実:「有馬キリシタン遺産記念館」を中心としたガイダンス機能

(3)民泊受け入れ能力の向上:農林漁業体験民泊~修学旅行生・インバウンド両面戦略

(4)観光と物産の融合:観光と農水産品の「リピーターづくり」~「ふるさと宅急便」

3.地域を挙げた観光・物産推進機構=DMO:「観光地経営」や「地域経営」ができる組織

4.次世代への継承:保存と活用を一体として行う。そのための次世代への継承。

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JR九州元会長・石井幸孝氏との対話~慧眼に学び、国・地域を構想する

6月11日、ながさき地域政策研究所の理事会が終わった直後、元JR九州会長の石井氏が来訪され、長崎新幹線問題について、意見交換させていただきました。石井氏の著書「人口減少と鉄道」に書かれている通り、長崎県と佐賀県の利害を調整する際に、佐賀空港まで新幹線を延ばすことが解決策の一つになると話されました。私が新幹線誘致問題にかかわるようになったのは、15年前、長崎県から招へいを頂き、シンクながさきに日本総合研究所からきてからでした。私は、新幹線は国家プロジェクトであり、地域にとって今後100年以上にわたってインフラとなると説明していました。ただ、投資額の問題もあり、フリーゲージトレインを検討せざるを得なかったと記憶しています。フル規格が無理なら、何も無いよりフリーゲージトレインでもいい。スペインにも導入事例がありました。まずは日本の財政が逼迫しない間に、長崎新幹線を確保しておくことだと考えていました。2012年12月に安倍政権が発足してから、日本経済は上向きに転換し、人口減少を食い止める地方創生戦略が打ち出され、子供子育てや働き方改革政策が具体化していきました。しかし、これらの政策が効果を出すには時間がかかります。長崎県で私が企画にかかわってきた案件を見ても、10-15年かかっています。石井氏との対話で、私が考えさせられた点が三つあります。

①第一点は、日本、特に三大都市圏を除き、人口減少が急速に進展する中で、九州等3島の鉄道事業は、鉄道だけでは維持も困難になること、これを打破するには、経営多角化を進めることです。その際に、JR九州の社長・会長として、近畿日本鉄道の多角化戦略を参考にしてきたことは驚くべき慧眼だと思いました。2016年秋から、私が東京都庁の専門委員(市場問題プロジェクト)として、豊洲新市場の市場会計(独立会計)や築地市場の再開発を議論した際に、利便性の高い土地の利用は、不採算事業と複数の収益事業のポートフォリオ構築が公的事業維持・発展のための一つの解決策であることを示したのと似ています。

②第二点は、全国の交通網を再度見直す必要があり、「新幹線物流」と「空港と鉄道のリンケージ」ということです。新幹線物流は、当時私はあまり重視してきませんでした。それは、輸送効率がトラック輸送に比べて低かったからです。ところが、九州を始め、3島新幹線や在来線は、その維持のためにも、物流機能を強化する必要があるのではないかと思い始めました。新幹線の空き時間や夜間の貨物専用新幹線が可能だとしたら、その活用を図らない手はないと思います。トラック輸送にも輸送力や人材獲得・コストの面で、限界が生じ始めており、鉄道輸送がコストが安ければ、需要は伸びる可能性があると思います。「空港と鉄道のリンケージ」は、空港と鉄道の乗り継ぎの悪さから、最初から地価の高い日本ではなかなか難しいと考えていましたが、石井氏の言われるような、佐賀空港に新幹線を乗り入れるリンケージが実現すれば、空港の利用優位性は格段に高まることになります。問題は工事費用の捻出です。長崎新幹線の経路はすでに決まっていて、変更は難しいのですが、大村市の新大村駅設置を議論した際に、長崎空港とのアクセス改善があげられました。石井氏のこの案は、もっと重要な課題を提起しています。それは、既存空港の活用度をもっと高めることが必要になるということです。今、日本中でみられる国際観光客の急増と、東京オリンピックを控えた航空需要の急増対策が喫緊の課題です。それは、また、私が有識者委員長として議論してきたIR(複合型リゾート)開発の検討の際にも、世界からのお客様を受け入れるアクセス改善の方策として、福岡空港の整備の限界と、長崎空港・北九州空港・佐賀空港などの拡充の必要性が議論されました。新幹線とは離れてしまいますが、空港間競争の熾烈化も避けられません。長崎空港の経営の拡充が必要で、そのための民営化等も検討が必要です。

③第三点は、災害時対応ができる交通網の整備です。JR東海がリニア新幹線を東京ー名古屋の山間部を通る路線として開発しており、海岸線を通る東海道新幹線では、大地震等の際に、交通網が寸断される可能性があるので、計画されたのですが、東日本大震災を機に、その必要性が格段に高まったと私は考えていました。リニア新幹線沿線人口も今後は減少して行き、東海道新幹線の乗車率が低下していくことが予想されます。その際に、災害時対応と新幹線物流が、整備を続けるロジックとなる可能性は十分にあると思います。

これらの論点は、私が考えてきた方向性ともほぼ一致していますが、実現可能性とともに、「どこまで実現するか」を今から検討しておくべきではないかと思います。

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(画像の下部に「佐賀空港」が見える。この空港まで、新幹線を延伸するることを、石井氏は唱えられている。6/13機内から撮影。)

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壱岐市での無人操縦航空機の実証実験視察(初日のテスト飛行)と松永安左衛門記念館で感じたこと

5月9日、12時に東京での会議の会場を後にして、13時45分のskymarkで東京から福岡に直行し、17時25分のジェットフォイルで博多ふ頭から壱岐・芦辺港に到着し、芦辺港で親切な地元の方に車で郷ノ浦のステラコート迄送っていただきました。9日の朝10時半から無人操縦航空機の実証試験のセレモニーが行われていましたが、私は東京で午前中重要な会議があったため出席できず、19時半からお祝いを兼ねて、担当者の会を開催していただきました。悪天候(暴風)のため9日の夜になってもテスト飛行ができていない中、General Atomics(GA)社の技術者や、東京から実証試験を見るために駆けつけてくれたCRA取締役の森山氏も参加して、郷ノ浦の四季優彩で賑やかに行いました。10日ステラコートを8時半に出発し、9時過ぎに壱岐空港に到着すると、すでにGA社の技術者や日本の給油・テント等供給会社の社員が、機体を格納庫から出して、試験飛行の許可を待っていました。約20㍍の機体が朝の光を浴びてまぶしく輝いています。GA社のテリー・クラフト副社長に挨拶をして、「今日こそ飛ばせる」という話を聞きました。10時位からあわただしく給油を始め、その間中、クラフト氏とこれまでの手続きや準備について約1時間お聞きしていました。10時半にいよいよ機体を空港のエプロンに移動させ、翼の動作やエンジンや電波の受信状況の試験を行った後、11時前に滑走路に機体を出し、飛行が開始しました。佐賀空港を離陸して壱岐に到着した追従機がすでに上空を飛んでいます。最尾のプロペラが回りはじめ、滑走路を滑るように走行し、瞬く間に離陸しました。騒音は、ほとんどありません。副社長に何時間位テスト飛行するのか聞いたら、3時間位と言われたので、道々壱岐の観光案内をしながら、森山氏らと一緒に芦辺に壱岐牛の食事に行きました。食後、森山氏の提案で、松永安左衛門資料館に行き、館長から電力の鬼といわれた松永翁についての解説を頂きました。私は何度も館を訪れており、電力中央研究所を中心に、東京湾横断道路・成田空港等構想をまとめた実績に思いをはせ、我々がシンクタンクの提言を作成する際には、大変参考になります。戦前から平和主義の立場で電力を中心に財界のご意見番としての役割を担い、戦前の軍部からは一線を引いた活動をされて来たのは立派だと思います。2時過ぎに空港に戻り、暫くして機体が着陸しました。無人操縦ですが、滑走路からエプロンに真っすぐ直線上を走行し、動きが実に正確だと思いました。GPSでも、自動車やブルドーザーは多少左右に蛇行することが多いのです。無人操縦航空機の性能の良さを感じました。クラフト副社長に、「Congratulation」とお祝いを述べました。まずは初日のテスト飛行が問題なく終わりました。私は安心して、郷ノ浦港に移動しました。今回の無人操縦航空機によって、壱岐市近海の海上気象・海水温・海岸線のデータ取得や、これまで課題となっていた、海難救助が更に進むことに期待したいと思いました。

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ブログを始めて今日で7年~書き続けることの楽しさと難しさ

6月1日は長崎では、くんちの「小屋入り」の日。ちょうど7年前の今日、このブログを書き始めました。きっかけは2010年秋に見つかった病気と2011年3月末の治療の終了。人生観が大きく変わりました。人間には寿命があるけど、できるだけ「長く生きたい」、生かされるなら「国や社会の役に立ちたい」、そのためには「一日一日を大切に」という気持ちが強く、今では元気いっぱいです。高校の同級生だった東電福島第一原発の故吉田昌郎元所長や、同年代の友達でも亡くなっていかれる方がおられます。若い経営者たちに勧められて、私の若いころから経験したことや、日ごろ感じることを書き始めたのです。自分では淡々と何気なく書いたことでも、読み手によっては、参考になることもあるようで、反響をいただいて来ました。シンクながさきのHPや、テレビ・新聞・専門誌での記者会見や審議会での発言は公式のもので、記録されるので、なかなか言いにくいこともありますが、ブログはもっと気軽に書けます。「細く・長く」をモットーにブログを続けようと思います。梅雨の合間の長崎のさわやかな光を感じながら。

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社会人となる若い君へのメッセージ(新入社員10か条)

エッセイー社会人となる若い君へのメッセージ(新入社員10か条)

菊森 淳文

1.目標とする先輩を見つけましょう

自分の人生の目標を新入社員の時から見つけるのはなかなか難しいですが、「こんな先輩のようになりたい」と思うことは比較的簡単です。目標とする先輩を見つけましょう。また、経験の少なさを補うために、新聞や本を読むことも目標を設定することに役立ちます。

私の場合、三井住友銀行の調査・企画部門で優れた先輩(上司)に調査・企画の基本から学ぶことができたことが成長の大きな原動力となったと、今になって思います。調査については、当時の常務取締役 後藤調査部長(九州大学・博士)から、調査の手本としての「満鉄調査部」の多彩な人材の集積の話を伺い、同氏から依頼の作業をしているうちに、「価値のある調査」とは何かを考えることになりました。

また、企画マンとして成長する過程で忘れられないのは、矢作氏(のちに副頭取となる)で、私が大蔵省担当として、金融先物取引法の制定に民間人として参画した際に、「東京だけでなく、大阪にも設置するべきだ」という主張が関西政財界から出されて、それにどう対応するかという論を張る必要にかられて困っていたところ、矢作氏は「そんなの簡単だよ」と言って、私に論破するロジックを考えろと指示されました。私の「どんな問題でも、解決できない問題はない」という「とんちの精神」は、矢作先輩によって鍛えられたといっても過言ではありません。

 

 

 

 

 

 

 

2.人に可愛がられる人になりましょう

人は人に評価されて成長していきます。豊かな人生を送るためには、人に可愛がれることが必要で、そのためには、要領のいい人よりも、素直で正直な生き方の方が、チャンスをつかみ易いと思います。人に可愛がられる人になりましょう。

私の場合、「田舎者」で単純な人間なので、企業内外の方に比較的かわいがっていただいて成長してきたと思います。例えば、三井銀行に入行し、大阪西支店勤務となり、最初の3年間、銀行の新人として、預金・得意先・融資を1年ずつ経験しました。これが貴重な3年で、得意先係で、営業の面白さを知りました。大阪西支店は、当時住友銀行の立売堀(いたちぼり)支店(どてらい奴で有名な、鉄鋼商社の集積があった地域)が競合店で、そこで日本の鉄鋼業界のことをオーナー社長一族からじっくり学ぶことができました。同じく、この地域には、木材商社・セメント商社・金属商社なども集積していて、日本の素材産業の動向をつぶさに学びました。また、大阪のオーナークラスからずいぶん可愛がっていただき、人生の送り方や商売の仕方など、様々なことを教えていただきました。私がエコノミストとして活躍できる基礎はここで形成されたと言っても過言ではありません。

 

 

3.複数のコミュニテイに属し、色んな人を観察しましょう。

若い時は仕事の仲間だけでなく、趣味や地域の集まりなど、複数の異なったコミュニテイに属し、人間を多面的に観察することは重要です。また、人は自分の鏡という面もあるので、人と交わることは、自分をより深く知ることにもなります。

私の場合、三井銀行に入行して4年目に留学命令が出て、アメリカのシカゴ大学のMBAコースに行くことになりました。留学先で、銀行の中にいるだけでは経験しにくい、様々な企業から派遣されたり、自費で留学している方々にお会いすることができ、のちの人生に大きな影響を及ぼしてきました。他の企業から派遣されてきた人の中には、極めて優れた方が多く、私の至らなさを感じることも多かったことを記憶しています。これらの中には、ブリジストンの津谷社長を始め、現在第一級の経営者として活躍している方も多いです。

 

 

4.人との出会いにより、チャンスをつかみましょう

人との出会いにより、チャンスをつかみましょう。上司や先輩などから頼まれたら、20歳代では断らず、まずは引き受けてみることが大切です。仮に失敗しても、若いうちは立ち直れるし、失敗をチャンスと考えて、次回同じ過ちをせずに成功に導けば、より大きな人間になることができます。そして、チャンスは人からしかやって来ません。人との出会いにより、チャンスをつかみましょう

私の場合、現在はシンクタンカーとして、公益財団法人ながさき地域政策研究所の理事長を務めさせていただいておりますが、前職の日本総研も同じで、自分で広告を出して営業することは効果的ではありません。そんなことをすれば、自らが有名でないと言っているようなものです。ただ、学会発表をして論文が受賞して評価されたり、単著を数冊出版したり、講演やシンポジウムに全国から呼ばれたり、あるいは自ら企画してシンポジウムを行うことはできます。多くのチャンスは、知人・友人のネットワークからいただくことが多いと感じます。

 

 

 

 

5.キャリア形成を意識してやりましょう。

人生は長いようで短いです。結婚や子育てで20-30歳代はあっという間に過ぎていきます。社会人となって、「まだまだ先がある」と思わずに、より良い人生に向かって、キャリアを重ねていくことが重要です。これには、体系的な学習と、直感的な経験とがあり、いずれも大切です。何事もキャリア形成を意識してやりましょう。

私の場合、体系的な学習は、MBAのほか、国家試験の取得のための勉強が効果的でした。私は実学指向で、学問のための学習をあまり好みませんでしたが、銀行が資格取得を推奨していたこともあり、証券アナリスト検定会員や中小企業診断士の試験を同時に1年で取得しました。人生の中には、子育てなど、学習の障害になると思われるイベントが幾つもあります。したがって、資格は取れるときにとっておくことが必要と思います。直感的な経験は、体系的な学習より、ずっと重要です。世の中は実務と経験で成り立っているからです。

私は銀行の営業よりも、調査・企画に適性があったようで、銀行は、私を企画部門・シンクタンクに配属しました。その中でも異色の経験は、「リスク管理システム」の開発プロジェクトでプロマネを務めさせていただいたことです。これは銀行の不良債権問題が発生して、銀行経営の中でリスク管理の占める重要性が高まったことにより、各銀行独自にポートフォリオが持つリスク量を日々算定する数学ロジックを盛り込んだシステムを開発するものでした。京都大学理学部数学科の博士号を取得した西口さんがプロジェクトチームに入り、「モンテカルロシミュレーション」を用いた計算を、スーパーコンピュータで高速計算する手法を採用しました。今なら、パソコンレベルでAI(人工知能)を使ったシステムで簡単に算定することができると思います。しかし、世の中はどうなるかわからないもので、この時に「理系と文系の間」をどう翻訳するかという特技を習得することになります。私が現在、理系大学の総合情報学部で教授を務めているのも、この時の経験が役立っていると思います。「数学や論理を嫌がらない」ことが必要だと思います。


 

 6.自己投資を常に心がけましょう。

若い時代、特に20歳代はあまりお金もなく、忙しく、なかなか自分への投資を行うことがしにくい面があります。仕事につながる勉強や資格取得、体力をつけるためのジム通い、一流の方々の講演をお金を出して聞きに行くことなど、すべて将来に活きる自己投資です。貯蓄も大切ですが、自己投資は若い年代でしておかなければ、実りある人生を送れないのではないかと思います。自己投資を常に心がけましょう。

私の場合、若い時に、銀行以外に、中小企業診断士の勉強会や、システムベンダーとの交流や、学会活動などを通じて、色んな方々から様々な依頼を受けてきたことが、自己投資になっていたと思います。また、留学時代に、欧州やアジアなどを1か月かけて旅行したことも、今から考えると貧乏旅行ではありましたが、世界の博物館・美術館巡りをしたり、北欧の離島航路に乗ったり、自分目で見て足で歩いた経験は、現在のシンクタンク・経営の仕事に生かされています。ユダヤ人の友達の話しとして、身に着けた知識は決して誰にも取られないということも真実です。


 7.いくつかの専門性を身に付けましょう。

人間は企業の中で、自分を光らせるには、少なくとも一流の専門性を持った分野が必要です。でもそれだけでは、企業の中で、専門家(法律・会計・技術等)として生きていくことになって仕舞います。そこで、T字型の人生が大切で、一つは誰にも負けない専門分野を持ちつつ、ほかの分野で、一般常識以上に得意な分野を1-2個作ることが、将来管理者や経営者になったときに役立ちます。いくつかの専門性を身に付けましょう。

私の場合、現在のシンクタンク経営の中で、大変幅広いことをやっていると思われがちなのですが、実はすべて「経営」です。自治体も、公営企業体も、民間企業も、NPOも、経営が成り立たなければ持続できません。その中でも、地方財政やPFIや公立病院等は専門的なノウハウが特に必要な分野で、これも柱となりえます。

 

 

8.「あひるの水かき」をやりましょう。

あひるは池を悠々と泳いでいるように見えても、実は水面下の足を一生懸命にかいて、沈まないように、前に進むように努力しています。どんな売れている芸人でも、表に出ないところで、ネタを何度も書き直して改良したり、芸を磨くために何度も練習して見えない努力をして研鑽を積んでいます。会社員も同じで、会社では見られないけど、土日、一生懸命に仕事関係の勉強をしたり、専門家に会ったりして知識と経験を蓄えています。若い時には、これは競争に勝つためと思いがちなのですが、特定の専門分野で本当のライバルは、数えるほどしかいません。一定のレベルに達すれば、競争相手は自分自身や自分の「なまけ心」であることがわかります。「あひるの水かき」を苦労なく続けられることが勝利の方程式であることに気づくはずです。

私の場合は、金融法務が好きで、銀行で入行1年目から若手職員向けの研修講師を務めさせていただいたり、チャンスを頂いてきました。法律の論理性に興味がありましたが、若い時には銀行業務は面白いことばかりとは言えません。ただ、金融法務は銀行実務に不可欠で、判例も多く、習熟するには時間がかかります。そのうち、銀行協会関係で研究会に参加するようになり、中央大学法学部の伊藤先生の勉強会に出席したりしているうちに、学会発表や、土曜日には神奈川大学で「金融法」の講師を務めさせていただくようになりました。この経験が、後に、金融庁・地方財務局の政策理論研修の講師をさせていただくことにつながっていきます。「地道な努力は必ず報われる」は真理だと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

9.人を喜ばせましょう

親や先輩や後輩や、色んな人を「喜ばせる」ことが、人の評価を高め、いずれ、必ず自分に返ってきます。人を喜ばせることは、必ずしもお金を使うことではありません。困っている人を助ける、同じ目線に立って親身に相談に乗ってあげる、30歳代以降は、仲人を引き受けたり、会社の仲間に学生時代の友人を紹介して出会いの場を提供することなどもできるのではないでしょうか。若い時には、どうしても自分や家族のことで精いっぱいで、他人のことに構ってあげられないことが多いものです。進んで喜ばせることは難しくても、アドバイスを求められたり、悩みを打ち明けられた時に、親身に相談に乗ってあげることも人を喜ばせることにつながります。

私の場合、IPO(株式公開)を目指す、やる気のある若い方々の集まりに対し、アドバイザーとして参画したことがあります。日本に新しいビジネスモデルを作る試みで、私もインターネットビジネスを研究していたので、楽しくアイデアを出し合い、時にはリードし、ともに成長すると言ったほうが良いかもしれません。その後、「経営アドバイス」を通じて、全国理容生活衛生同業者組合連合会に作っていただいた全国理容総合研究所の研究主幹を経験させていただいたり、今は世界的なガーデンアーテイストとして活躍されている石原和幸氏との交流など、いくつかの業界団体や企業経営者との関係を作ってきました。その時々は必ずしも「喜ばせる」ことばかりではなかったと思いますが、後で振り返ると喜んでもらえる行動を取ってきたと思います。

 

 

10.良い習慣を続けましょう。

人は、いつもいつも意識して行動することがなかなかできないものです。放っておいても、朝早く起きて勉強したくなる、土日はスポーツしたくなる等、行動を習慣化すると、考えなくても自然に体が動くようになります。そして、気が付けば無理なく目標を達成してることでしょう。良い習慣をつけましょう.「習慣こそ力」です。

私の場合、若い時から朝方人間で、朝、情報収集や読書や仕事をする習慣がありました。これは、両親が兼業農家で、子供の時に早朝から畑仕事を手伝ったり、両親と村内(三重県伊賀市島ケ原)をマラソンしたりしてきたことが習慣となっているものです。頭のすっきりした朝にできるだけ仕事を済ませてしまうことが、若い時は勿論、長い人生を振り返ると大きなメリットになったと思います。

 

 

○ 三つの時代

人生の18-22歳から65歳までの時間を三つに分けると、「知識・技芸を身に付ける時代」「実行力を付ける時代」「人間力を高める時代」に分かれると思います。

人間は最終的には、これら三つの時代を経験することにより、自分と社会のより良い進化のために、「発言力」・「多くの方々を巻き込む力」が求められると思います。若い時代は、そのための基礎を築く時期です。こんなキャリアプランを考えながら、日々目先のことも馬鹿にせず、一つ一つ、一歩一歩取り組んで、困難なことがあっても乗り越えていきましょう。

 

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「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が世界遺産登録へ

5月4日朝、政府は、ユネスコの諮問機関・国際記念物遺跡会議(イコモス)が、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」(12資産)を世界文化遺産に登録するように勧告したと発表しました。長崎県では、「明治日本の産業革命遺産」(県内8構成資産)に次いで、2件目の世界遺産となります。今回は、イコモスから「禁教期に焦点を当てるべきである」との指摘を受けた経緯があり、「顕著な普遍的価値」が明確になり、改善されました。長崎県・九州にとって、大変喜ばしいことです。これを機に、私ほかで監修した「ながさき2つの世界遺産を歩く旅」(長崎の教会群とキリスト教関連遺産、長崎の産業革命遺産)(画像)等ガイドブックを手に取っていただき、長崎を歩いて回って(長崎弁では「さるいて」)いただきたいと思います。

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「長崎IR(複合型リゾート)基本構想有識者会議取りまとめ」を長崎県知事・佐世保市長に手交~実現に向けて一歩前進

4月26日午後1時半、マスコミ公開のもと、「長崎IR(複合型リゾート)基本構想有識者会議の取りまとめ」を、委員会座長として、長崎県中村知事・佐世保市の朝長市長に手渡しをさせていただきました。その後、13時50分から15時くらいまで、長崎県・佐世保市・私で記者会見に臨み、私の方から、概要(画像)を約10分で説明させていただき、県・市と一緒に質疑に回答させていただきました。4月26日IR実施法案が、国会に上程される見込みであり、その直前の記者会見となりました。今日初めて、コンセプト・キャッチフレーズ「ユニーク(9)マリンIR」(団結uni+九州9+海marineの意味)が公表されました。IR実現に向けて一歩踏み出しました。

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