残香の茶会

私が長崎新聞のコラム「うず潮」に月一回寄稿させていただいて、来月で早くも丁度8年になります。この中で、松浦家当主松浦章氏(現在藤沢在住)との「稀有な経験」は今も心に残っています。以下のコラムは2008年3月に掲載されたものです。
二月下旬の満月の夜、平戸市の禅寺で鎮信流の残香の茶会が開かれ、ご招待いただきました。私は奈良育ちですが茶会は30年以上出席したことがなく作法や正座など不安で一杯でした。正客である日本文化研究家のアレックス・カー氏や亭主の松浦氏に優しく教えていただき、何とか四時間余りの茶会を有意義に過ごすことが出来ました。月明かりを頼りに苔むした石段を上がり門をくぐると、蝋燭の光だけの客室に通されました。枯山水の庭に月光が降り注ぎ、日頃電燈になれた暮らしを営む私には、眩く美しく感じられました。まず江戸時代から変わらぬ山海の伝統料理が四つのお膳で運ばれ、昔の平戸に思いを馳せました。次に茶室に移り濃茶をいただきましたが、驚いたのは、二つの獅子の掛け軸と、花活けの三メートルはあるかと思われた凛とした竹と可憐な一輪の花でした。明らかに侘びさび茶とは異なり、客人を威嚇するような掛け軸と花活けに、かつて交渉や敵状視察の場として使われた「大名茶」の名残を感じました。最後に別の茶室で薄茶をいただきましたがここでも御簾の向こうで茶を立てるため、客人からは見えないという特徴がありました。
茶会の話題の一つが「平戸の再生」で、平戸の交流人口を増やす観光振興の行動を起こすには、地域の人々が我が住む街の魅力を再発見し、リーダーを中心として街作り運動を実際に起こすこと、外部の人の力を借りてでも平戸の魅力を世界に情報発信することが必要であると話しました。街作りのリーダーとこれを支える人材が現れる地域は発展するという客観的事実があります。また、住民の街作りの動きに呼応して、行政がカネや情報の面で支援し、官民協働を進めることも重要です。
異空間にタイムトリップしたような寒い禅寺を出た私達は、あたかも幻の世界から現実に引き戻されたかのように、平戸海上ホテルの森司社長らと平戸瀬戸が望める温泉で身体を温め、リラックスして酒を飲みなおしました。残香の茶会の残香とは、梅の残香というよりも、江戸時代に物産振興などで地域の発展を願った大名の残香ではないかと思いました。

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計画的高台都市の建設

7月27日、私が理事を務める「日本ホスピタリテイ・マネジメント学会」の2011年度全国大会で研究発表するため、予稿集掲載用に原稿「計画的高台都市とホスピタリテイ」を送りました。同大会は8月5日に日本大学生産工学部・実籾キャンパスで開催され、統一論題は「日本の活性化とホスピタリテイ・マネジメント」。今回の論文の予稿は、4月4日に公表し、岩手県知事・宮城県知事にもお送りした「東日本大震災からの復興に向けた長崎からの提案」に手を入れたものです。「災害に強い街作り」の中で、私が都市計画の専門家などと話し合いながら、長崎市・佐世保市の斜面都市のプラス・マイナス両面の経験を活かして、三陸海岸等に新しい防災都市を建設することの必要性と手法の概要をまとめたものです。街作りのコンセプトとして、「高齢者が安心して定住できる街」を設定し、ハード面・ソフト面から「ホスピタリテイあふれる街作り」を目指すにはどうしたらいいかを論じています。この考え方は6月下旬に公表された「復興構想会議の提言」に反映されており、実施するためにはどうすればいいかをさらに提案していく予定です。

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佐世保米軍基地自衛隊護衛艦金剛見学

7月24日、佐世保の米軍基地と海上自衛隊護衛艦「金剛」を見学しました。India Basin,Red Brick Warehouse Group,Fleet Landing,Hirase Peninsula marker,McArthur marker,Guest Spart Memorial,Museum,Harbor View Club garden,Administration Building and Garden,Sasebo Harbor markerの順に見て回り、HVCで昼食をとりました。久々のアメリカ食でおいしかったです。アメリカ南部のケイジュン料理(なまず)があったのには驚きました。米軍内の案内はミリタリープレス経験者で、日本人通訳が着きました。空母エセックスが停泊しており、間近に見ることができました。エセックスは排水量4万トン、全長257m、幅42mの小ぶりの空母です。米軍基地のすぐ近くに海軍病院だった木造建築物が残っており、司馬遼太郎の「坂の上の雲」に出てくる、東郷平八郎がロジェストウエンスキーを見舞った場所です。その後すぐに海上自衛隊護衛艦(イージス艦)「金剛」に乗船して、医務室・理容室・寝室・洗面所・タービン制御室などを見て回りました。イージス艦を見たのは、生まれて初めてだったので感動しました。佐世保は他の基地よりも米軍との関係が良好に維持されていると感じました。

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精神障害者社会復帰施設協会定期総会での講演

7月23日、2011年度長崎県精神障害者社会復帰施設協会定期総会が開催され、「今後の社会福祉事業所に求められる経営的視点」と題して講演させていただきました。「経営とは何か」原点を見つめ、「経営のポイント」として、①トップマネジメント機能、②経営基盤の確立=事業体内部の経営環境を整備すること、③経営者のリーダーシップと職員の意識改革、「今後の経営に求められるもの」として、①公共性・理念と使命感、②持続可能性のある自立した経営、③利用者満足度を高める経営(CS=customer satisfaction)、④従業員満足度を高める経営(ES=employee satisfaction)について説明いたしました。私は病院や様々な福祉施設の経営アドバイスをさせていただいていますが、共通しているのは、A.経営を持続させるための収支バランスのとり方、B.「人」の尊厳・「心」を大切にすること、C.人を対象とするサービス業としての人材教育です。県内の精神障害者社会復帰施設の経営者の方々の熱心な態度に責任の重さを感じました。

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福祉施設経営研究のための訪問

7月19日午前、福祉施設経営研究のために、諫早市有喜にある特別養護老人ホーム「天恵荘」盲養護老人ホーム「光明荘」を視察させていただき、医療法人和光会・社会福祉法人寿光会理事長出口喜男氏・亀井道信氏ほかに一時間程度これまでの経営と今後の展望についてお伺いいたしました。また、光明荘では、目が見えない状態の体験をし、田中施設長・池永副施設長に施設をご案内いただきました。出口理事長が市に公営施設の民間委託を提案して運営コストを大幅に引き下げた話は印象的でした。午後は、東長崎のグループホームなぎさ、デイサービス「さざなみ元気センター」を訪問し、山下社長・光武施設長に福祉分野進出のきっかけや施設経営のポイントについてお伺いいたしました。特別養護老人ホームは社会的ニーズが大きいため、政府の政策によっては認可を緩和することが必要ではないかと感じました。

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理容業界での楽しい再開

7月16日、全国理容生活衛生同業組合連合会の菊池信彦事務局長と、ヘアサロン大野グループの大野悦治代表に久々に会いました。大野先生はお父様が理容業に近代的経営を取り入れて日本の理容業をリードする成功されており、大阪のヒルトンに次いで、最近も東京のニューオータニに2店舗同時に出店(カットだけで1万円のお店)するなど、積極的かつ堅実な経営をされています。翌17日はご子息の結婚式だったにも関わらず、遅くまで日本の理容業の将来を語り合いました。今後、日本の理容技術でアラブやヨーロッパの王室までも顧客にする店をロンドンに開業したいとおっしゃっておられました。日本の理容・美容技術は海外でも高く評価されており、十年以上も前にニューヨーク五番街のMOMOTAROさんを訪ねたことがありますが、アメリカの女優や新日鉄の社長なども来られていたのを覚えています。私は世界の同業の中で、日本の理容技術の最大の特徴は、カットやエステの技術だけでなく滑るような肌を作り上げる「シェービング」にあると思っています。菊池事務局長とは長崎県小値賀町の観光大使を務める東洋文化研究家のアレックス・カー氏の話で盛り上がりました。特に小値賀や祖谷渓(徳島県)の古民家再生に興味を持っておられました。二人とも全国理容総研の仕事で長崎に来て、長崎大学医学部の先生にシンクながさきで講演をお願いしたことがあり、浜口町の寿司屋「桜井」で食事をしたことから、すっかり長崎好きになっていただいています。16日はまたの再開を約束して別れました。

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椿による島おこし

7月8日、五島市の中尾郁子市長にお会いした際、資生堂が主力のヘアケアブランド「TSUBAKI」に五島列島の椿油を新たに配合して、髪の保湿効果を高め「艶髪」を作る商品の販売を開始した話題が出ました。7月からのテレビコマーシャルで「五島」とは表示されていないが、五島の風景が採用されています。長崎県の椿油の生産量は年間19klと全国トップクラスですが、椿で有名な地域は大島など他にもあり、全国的にあまり知られていません。これを機に、五島列島を「椿」で情報発信し、世界遺産候補となっている「長崎の教会群」へとつなげていきたいと思います。五島市では、平成21年3月に「つばき」振興計画(「日本一の椿の島づくり計画)を策定し、椿油の生産量を5年間で14klから21klへと1.5倍に増やす計画を打ち出しています。椿油のブランド化により、椿油の販路拡大を図り、雇用創出と耕作放棄地解消を目指しています。椿油は主として、化粧品と高級食用油の二つの用途があり、オリーブと似ています。化粧品だけでなく、高級食用油の分野でも、五島ブランドを作って販売することにより、原料ではなく、加工の付加価値分を地域が得ることができます。地元の加工業を育成し、他の椿産地との競争力のある商品開発を行うことが、今後の方向性として重要です。私は以前、理容・美容業関連企業と親しく、カネボウさんと長崎県の椿・びわを使った化粧品・石鹸の開発を検討したことがあります。その時は、カネボウさんが企業再生をすることになり、実施できませんでした。今回は、資生堂のブランド力・販売力により、五島の椿を全国に売り出すことができた重要な一歩です。このチャンスを活かし、五島列島の食や観光を含めたブランド化を図っていきたいものです。

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東長崎ペーロン大会見学

7月10日、東長崎で行われたペーロン大会を見学し、その後、蠣道一丁目の山下政郎宅で食事をいただきました。地元の町内会の方々以外に、浮立(ふりゅう)保存会の会長、学校の校長・教頭他先生方や東洋ガスの役員・社員の方々も来られ、にぎやかな中、12時過ぎに長崎市の田上市長も来られました。私が生まれた三重県伊賀市島ヶ原村の田舎の宴会を思い出しました。お料理は卓袱(しっぽく)の家庭版を基本にして、お祝い事なので鯨のベーコンが出されていました。矢上団地の方々も沢山来られ、東長崎・矢上地区の交流拠点になっていました。快晴に恵まれ猛暑となったため、早々にお暇を申し上げました。

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ソーシャルビジネス普及啓発セミナーでの講演・コーデイネイト実施

7月8日五島市、9日新上五島町でソーシャルビジネス普及啓発セミナーが開催され、その中で、「ソーシャルビジネス概論」と題して講演させていただきました。これは、長崎県の雇用労政課が企画し、当財団で実施させていただいたものです。講演では、「ソーシャルビジネス55選事業例」や長崎県にとって必要な5つのビジネスモデルについても説明いたしました。講演の後、実践者による事例発表、私がコーデイネートしてパネデイスカッションが行われました。五島市ではNPO法人アクロス五島濱崎事務局長と福江島おんだけ振興会田中事務局長、新上五島町ではNPO法人つばきネット近藤事務局長と上五島やぶ椿会岩永代表に事例発表をしていただきました。パネルデイスカッションでは、五島市商工振興課の山田様と新上五島町まちづくり推進課の坂下係長様にも行政の立場から参加いただきました。梅雨明けの強い日差しが照りつけるなか、五島市・新上五島町とも25名程度の住民の方々に出席いただき、質疑応答を兼ねた交流会では、当初の顧客獲得やマーケテイングをどうするか、資金をどのように得ていくか、五島ブランドをどう確立するかなど、真剣な質問・議論が繰り広げられました。また、国のふるさと雇用制度の一層の充実や要件緩和を図ってほしいとの声が住民から出されました。離島・半島は少子高齢化が最も進み、「日本の将来の縮図」なので、社会的課題の解決を目指すソーシャルビジネスの成功事例を多く作りたいと思いました。そのためにも、9月以降「アドバイス会」で具体的なビジネスモデル構築支援を行いますが、さらに恒常的な支援組織として、3年前から私が提唱してきた、中間支援組織が必要だとの感を強くしました。

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佐世保市総合計画トップインタビュー実施

佐世保市総合計画策定をお手伝いさせていただく一環として、7月7日、佐世保市朝長則男市長と佐世保商工会議所前田一彦会頭のご意見を佐世保市の企画ご担当と一緒に伺いました。市長からは、マニフェストの重要政策すなわち、①東アジアへ向けた九州サブ・ゲートウエイ構想の推進、②行政改革の推進、③各産業の振興による雇用の確保、④各地域のまちづくりの推進(中心市街地活性化、地域核形成、合併地域活性化)、⑤地域医療再生、こども発達センター再整備、交通不便地区対策など医療・福祉政策の充実、⑥基地問題への積極的取組、⑦石木ダム建設促進等による水源確保などについてお話を伺いました。さまざまな分野の方々から積極的なご意見をいただき、やるべきことは明確で、将来性あふれる佐世保市の総合計画とすることができると心を強くいたしました。

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