アメリカン航空の破産法適用申請

12月29日朝、アメリカン航空が破産法適用を申請したというニュースが流れました。私にとっては当たり前のことで、人件費・燃料費等の「高コスト体質」を是正するための当然の措置であると思います。今から30年余り前、私が25歳でアメリカに留学したころから、アメリカの規制緩和が航空・トラック輸送・金融(銀行・証券)など幅広い業界で行われ、多くの企業が淘汰されてきました。航空業界は映画「ウオール街」でチャーリー・シーンが「ブルースター航空」の組合との交渉成立をインサイダー情報として投資家に株式を勧める場面がありますが(これは違法なインサイダー取引です)、それほど組合対策が航空会社の経営にとって鍵を握っています。日本では航空業界の規制緩和がさほど進んでいませんが、海外では英米を中心に進められてきました。規制緩和の対象となる業界には共通点があり、付加価値の低いcommodityを提供している業界です。航空業界でもサウスウエスト航空のように、顧客サービスを徹底的に追及した企業もあるので、経営戦略によって規制緩和下においてこそ、経営の巧拙が現れます。アメリカン航空についてもう一つ思い出があるのは、アメリカン航空が「マイレージサービス」の創始者だということです。当時、東部エスタブリッシュメントでハーバードビジネススクール出身の友人が、コンサルタントとしてアメリカン航空に初めてマイレージサービスを導入し、高く評価されていて、私も驚いていました。彼の顔でアメリカン航空のファーストクラスに乗せてもらったのも懐かしい思い出です。

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長崎を自ら考える会(RESET長崎)のシンポジウム

11月28日、長崎を自ら考える会(RESET長崎)のシンポジウムを聞かせていただきました。長崎大学名誉教授の溝田勉代表は大学の先輩であり、長崎大学教授をされていた時から、国際機関誘致の可能性検討等のアドバイザーとなっていただき、お世話になってきました。長崎が国際的に発展性のある街とするために、市民団体として意義深い提言をされていると思います。このような、健全な危機感に基づく「未来指向の市民団体」が育たなければならないと思います。細かな内容については、ただちに賛成できない部分もありますが、官民挙げて研究していけばいいと思います。私も今こそ長崎が変わるターニングポイントにさしかかっていると考え、この重要な時期に何をすべきかという観点から、新聞・テレビ・ラジオで発言させて頂いたり、県・市町・民間団体の各種委員会の委員長・副委員長をお引き受けしています。今後も長崎を自ら考える会とは意見交換をさせていただきたいと思いました。

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福岡大学田中教授の講演会開催

12月21日午後4時、長崎市ふれあいセンター矢上団地で福岡大学田中教授の講演会を開催いたします。これは、私が、福祉施設経営にも情熱を傾けておられる東洋ガス山下社長にご提案させていただいたもので、東長崎地区で福祉関係者にリハビリ・予防介護を勉強していただくための講演会です。福岡大学田中教授は私がご信頼申し上げている医学博士・スポーツ科学の専門家で、全国でも(世界的にも)珍しい実証データに基づく研究をされている先生です。地域が高齢化する中で、認知症予防ができたり、要介護者にならないようにできればベスト、要介護になってもリハビリ・軽度化できれば、生活の質(Quality of Life)が大幅に変わります。田中先生は、主としてスポーツ(スロージョギングなど)の実践により、成人病・介護予防を実現しておられ、行政と一緒に市民運動にまで高めておられるところもあります。地域ぐるみで健康な高齢者生活を指向しておられる行政・医療・福祉施設関係者はぜひお聞きいただきたい内容です。

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講演「長崎県の課題・活性化策」

11月27日午後、ある政策研究会で「長崎県の課題・活性化策」と題して講演させていただきました。講演の冒頭、私が23年3月に柴田順客員研究員と作成・公表した「日本の中間支援組織の課題とその将来像」を配布し、説明させていただきました。「新しい公共」の概念浸透には時間がかかると思いますが、①財政的な制約、②社会問題解決の必要性(高齢者福祉・子育てなど)のために、欠かせないスキームになると話しました。NPO法人等の経営持続性を高めるためにも、資金面・経営面の支援が必要で、中間支援組織の存在が欠かせないことも説明させていただきました。本題の「長崎県の課題・活性化策」については、①長崎県経済の今後の課題、②地域振興の基本戦略、③プロジェクトによる地域作り、④上海航路の意義、⑤協働による街作り、⑥長崎県における街作り事例、⑦地域を担う人材育成の理論と手法、⑧長崎県における地域人材育成戦略、などを話しました。

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2012年世界経済・日本経済の見通し

エコノミストは、自らの勤め先である銀行・証券会社・生命保険会社・投資信託会社等にプラスになるような(少なくともマイナスにならない)経済予測を公表するものです。一年前の今頃の経済紙に掲載されている予測を見て実際と比較してみると良くわかります。私のように自由な立場から経済を語ることができるという特典を活かして(サラリーマンエコノミストでなく、利害が自らに及ぶ可能性のある真剣な投資家の立場とも言えます)、2012年の世界経済・日本経済を考えてみたいと思います。来年のことを言うと鬼が笑うといい、確かに後一か月の間に重大事件が起こる可能性はありますが、このまま推移するとどうなるかを考えてみることも有益でしょう。2011年は欧州債務危機と米国財政問題に揺れた一年でした。これは今に始まったものではなく、2009年のリーマンショックが未解決のまま対処療法を繰り返して来た結果ということができます。欧州債務危機は、財政危機から金融危機に、ギリシア・イタリア・スペインから欧州全体に拡大してきています。金融危機の怖さは、信用不安が一瞬にして広がることにあることは、我が国の一部銀行・証券が一晩で破たん消滅した事実を見ても明らかです。もちろん人間には知恵がありますから、システミックリスクは避けることが不可欠ですが、最悪の事態が避けられたとしても、実体経済に大きな影響を及ぼすことがあります。日本の不良債権問題が解決に10年以上を要し、デフレが20年間続いていることが何よりの証拠だと思います。欧州・米国発の財政・債務危機は、今後10年間にわたり経済の下押し圧力になることはあり得ます。世界経済を今後牽引する地域は、中国・アジア地域と、まだ社会システムとして活力のある米国だと思います。私は、2012年の世界経済成長率(実質)を3%程度(米国1.5%、欧州マイナス0.5%、日本2%、中国8.5%)と予測します。日本は円高・世界経済成長鈍化の影響はあるものの、復興需要が景気を押し上げるからです。欧州・米国・日本・中国・アジアと地域を超えた経済金融支援体制ができて、最悪の事態は避けられると思いたいですが、経済を理由にした政治的覇権が強まり、世界の勢力図が変わる可能性があります。財政金融運営を間違えると国の存立基盤が揺らぐものと考え、政策運営に当たらないといけないと思います。

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居留地の壁

11月26日、伊丹空港で「居留地の壁」という新しいお菓子を発見しました。「ふわふわのシュー生地をさくさくに焼き上げたアーモンドの香ばしさとほんのり苦味がマッチしたシューラスク」というのが唄い文句ですが、紅茶+ラスク好きにはたまらない食感・味でした。関西のお土産は本当においしいものがなくていつも困ります。「トラ焼き(「トラ」は阪神タイガースの意味)」や「タコ焼き」は関西人や関西出身の人には受けると思いますが、実際おいしくても他地域の人には全く受けません。唯一、だれにも喜ばれてお土産にできるのが「赤福」ですが(本当は伊勢のお菓子ですが)、日持ちがしないのと、重くて、横にしたまま飛行機に乗せないと形が崩れてしまい、お土産として渡したとき、おいしく見えません。その点「居留地の壁」は、居留地の煉瓦壁をプリントしたプラスチックの容器に入っているので、持ち運びに便利です。私はいつも長崎の軍艦島・居留地のお土産が陳腐で魅力的でないため、改善したいと考えていますが、ここに物まねでない、一つのヒントが隠されていると思いました。「めざましテレビ」の銀座のアンテナショップ「めざマルシェ」の支配人と会った際、「地域に眠っている、地域に行かないと味わえない商品を並べたい」「箱菓子は並べたくない」と言っておられましたが、消費者はナショナルブランドに飽きており、地域性の強い商品に活路があると思いました。たとえ創作であっても。

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長崎病院森院長の講演

12月20日、独立行政法人国立病院機構長崎病院の森俊介病院長の講演「長崎県の地域医療を考える」を午後6時半から長崎県美術館2階ホールで行います。これは、琴海病院経営建て直しなど長年医療現場で革新的経営者のおひとりとして地域に貢献してこられた森院長のご経験を後世に役立てるとともに、今後病院経営が難しくなる長崎地域で、どのように地域医療を確保するかを考えるため、私が発案したものです。私自身も、北松中央病院の経営評価委員を務めたり、長崎市立市民病院や松浦市病院診療所の在り方検討委員会の委員長を務めるなど、公立病院の経営について、ご意見を申し上げたり、検討させていただいたりして来て、地域(地域住民)を守るためには、財政健全化と医療・福祉の確保が喫緊の課題であると考えています。医療・行政に係わる方々のみならず、県会議員・市会町会議員をはじめ、医療福祉活動を行っておられるNPO法人・ボランテイア団体等の住民の方々にもご参加いただきたいと思います。

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壱岐市観光振興計画策定委員会で委員長務める

11月22日、壱岐市で観光振興計画策定委員会が開催され、私が委員長に選任されました。市役所からは基本方針案として、①島民総参加による観光振興、②魅力あふれる観光資源を活かした観光地作り、③地域一体となった「観光街作り組織」の構築、④ターゲットを明確にした国内外の誘致戦略、⑤他地域との連携事業、が提示されました。壱岐市は、壱岐国博物館基本構想に建築家の故黒川紀章氏にも入っていただいて携わった経験があり、思い入れがあります。長崎県内でも「島ごと博物館・島ごと大学」と言える離島で、未来につなげる振興計画を策定したいと思いました。

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円高を新たな成長に活かす

円高は輸出産業には痛手となって、工場等生産拠点の海外立地を促しますが、内需型産業にとっても企業の海外移転等を通じて市場の縮小を招きかねないと思います。一方、円高を活用して、輸出産業・内需型産業ともに海外進出や外国企業の買収を進めることにより、新たな成長の芽を育てることも可能です。欧州財政・金融危機は世界経済にとってピンチですが、考え方を変えると、円高を活用した海外進出や海外資産取得のチャンスです。小売や外食産業で海外出店が国内を上回る「内外逆転」が起こっているのも(2011年11月21日付け日経新聞)、人口減少に向かう日本マーケットを補い、新たな成長を目指す企業にとって、当然の決断ともいえると思います。消費財や飲食を売る産業の場合、これから所得が増え中間層が拡大する中国・マレーシア・インドネシア・ベトナム等が有望だと思います。一方、中国のように高齢化が急速に進む国では、福祉・医療関連産業が成長する余地があると思います。ただ、ここで必要となるのは、海外マーケットに関する調査力と信頼できる相手の発見です。私も得意分野で、企業のお手伝いをしています。海外特有のリスクを十分に認識した海外進出・投資が必要であることは、どの時代、どの地域にも不可欠です。

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兆候のうちに問題を解決する知恵と勇気

11月17日辺りからイタリアだけでなくスペインの国債の利回りも7%近くになっており、東欧諸国にも波及して、フランス・ドイツ国債格下げの可能性も出てくるなど、欧州危機がソブリン(国)から金融機関に波及し、拡大しています。これは、ギリシア問題を始めとして、問題を先送りにして来たつけが回ってきたに過ぎないと思います。我が国の不良債権問題も当初解決を先延ばしにしてきたがゆえにさらに多くの予算を費やし、「日本経済不毛の10年」と「日本デフレ20年」につながったことを思い出すべきだと思います。アメリカの経済が落ち込まず、中国が独自の経済金融政策で世界経済を安定化させない限り、世界経済金融の危機が避けられなくなる可能性が出てきました。11月18日のウオールストリートジャーナルまでが「欧州経済の問題はIMF(国際通貨基金)が関与すべき範囲を超えている。」と述べています。私は、欧州問題の解決が見えてこない限り、世界経済・日本経済は2013年まで落ち込み、日経平均が7,000円程度まで低下し、ドル円相場は45円程度まで進行すると考えています。実際にはアメリカと中国が欧州問題に協力し、最悪の事態を避ける可能性はありますが、それを機に、両国が欧州に対する覇権を強化する結果となると思います。危機的状況は火種のうちに解決することが必要で、先延ばしにすると結局大きなつけを払わされることになるのは、経済金融政策も企業経営も同じです。私の財政再建や企業再生の経験から、解決手段のあるうちに勇気を持って踏み出し、知恵を使って損害を小さくすることが国・地域・企業にとって最善の策なのです。

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