五島福江商工会議所で浮体式風力発電国家プロジェクトを説明

12月11日午後、五島の福江商工会議所で、主としてプロジェクトリーダーである戸田建設から環境省が進めている「浮体式洋上風力発電実証事業」のスケジュール・行程を、気象・海象調査とともに説明させていただきました。この実証事業は世界で二番目・日本で初めての試みで、再生利用エネルギー・新エネルギー分野で重要な位置を占めています。私は、この国家プロジェクトで長崎総合科学大学と一緒に、地域受容性についての検討・支援を行って来ました。国は実証実験段階を終えた時に、政策としてどのようなメリットを協力した地元が受けるのかを今後説明していくことが、普及させる鍵を握ると感じました。技術的に実施可能であっても、適地が限られ、地元の協力が不可欠なプロジェクトでは、地域との対話が必要で、これがなければ、領海上の設置は進まない可能性もあります。我が国のエネルギー政策の将来を考える時、この小さな、しかし重要な一歩を是非成功させたいものです。

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永訣の朝

12月5日の朝、花巻市の宮沢賢治記念館を訪れた際、片隅にひっそりと掲げられている「永訣の朝」を見た時、私の目は釘づけになりました。私は鈴鹿山脈にある三重県阿山郡島ヶ原村の山里に生まれ育ち、冬は雪に閉ざされる怖さを感じていましたが、小学校の時この詩を読んで岩手県に育った宮沢賢治が、結核で死に行く妹の陶椀に降っている雪を掬い、「最後の食事」として与える、兄の妹を思う半ばあきらめも混じった悲壮な気持ちが胸を打って涙が止まらなかったのを覚えていたからです。人間はいつかは死んで自然に帰り、また雪として降ってくるかもしれませんが、近しい人、かけがえのない人がまさに死に直面しようとしている時、このような静かな行動をとれるものなのかもわかりません。「雪と水との真っ白な二相系を保ち、透き通る冷たい雫に満ちたこのつややかな松の枝から、私の優しい妹の最後の食べ物を貰って行こう。私たちが一緒に育ってきた間、見慣れた茶碗のこの藍の模様にも、もう今日お前は別れてしまう。(中略)お前が食べるこの二椀の雪に、私は今心から祈る。どうかこれが天上のアイスクリームになって、お前と皆とに聖い資糧をもたらすように、私のすべての幸いをかけて願う。」(原文はほとんどひらがなのみです)

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電車で座る若者が増えた

ここ5年間くらいで、東京・大阪・福岡などのJRや地下鉄、長崎の路面電車に乗っていて思うことですが、10~20歳台の若い人たちが優先席でも平気で座っているということです。空いているときは優先席を使っていいと思いますが、明らかな「お年寄り」が自分の前に立ったとしても、席を替わる人は稀です。若者自身が疲れているか、明らかに我々の年代よりも体力が落ちているようです。見た目は変わらなくても、弱い若者が増えてきていると思います。体力が落ちれば気力も落ち、仕事や学業・研究のレベルも落ちます。学者に最も求められるのは長時間の研究・精神力を支える体力だと聞きます。日本の本当の問題は高齢化では無くて将来ある若者の体力が落ちていることかも知れません。

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欧州危機の行方と我が国の対応

12月8日早朝、欧州中銀(ECB)が債務危機対応として、政策金利引き下げ(△0.25%幅)、銀行の資金繰り支援として資金供給期間を1年強→3年に延長のみを公表し、財政悪化国の国債購入には言及しませんでした(政策金利引き下げ△0.5%、国債購入増額という方法もあったと思います)。EU首脳会議が8~9日開催されるので、ECBはできることが限られていることを表現したのでしょうが、EU首脳会議では財政規律強化がEUの「南北問題」になっている債務国支援の条件であるがゆえに新たな合意にこぎつけることは容易ではないと考えます。対症療法を繰り返しても、債務危機国が財政削減・均衡への道筋と可能ならしめる具体策を提示できない以上、EU諸国・欧州金融機関全体の格下げは避けられないと思います。そのためには、もう一段の危機的状況が現実のものとなり、EUからの離脱方法もルール化しないと、欧州債務危機は一時小康状態になったとしても収まらないと思います。また、欧州自らがこの問題の解決に本気で踏み切らない限り、IMF・ECBの本格支援はできないし、するべきではないと思います。このような中で、アメリカのFRBが金融機関の格付け手法を変える(FDIC(米国預金保険公社)フォーミュラ利用)ことを打ち出したのは賢明だと思います。私は13年前くらいから金融庁政策理論研修の講師をさせていただいて来ましたが、現在の格付け機関の格付けのみに頼ることには問題があると考えています。欧州危機の我が国への悪影響を最小限にとどめるためにも、格付け手法を含めた金融機関評価方法を我が国から発信して国・金融機関の経営健全性をアピールすべきではないかと思います。このままでは対岸の火事で済まないと思います。

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西九州統合型リゾート研究会有識者委員会開催

12月8日午後3時、ハウステンボス(佐世保市)で西九州統合型リゾート研究会有識者委員会第1回検討会が開催され、私が委員長に選任されました。委員には、安徳勝憲氏(長崎国際大学教授)、中條辰哉氏(大阪商業大学アミューズメント産業研究所研究員)、桃井謙佑氏(長崎大学准教授)が任命されました。守秘義務契約上、ブログに書けることは限られていますが、第1回では検討会の議題とスケジュール、西九州地域(ハウステンボスを含む)の特性などが活発に議論されました。2012年3月中間報告、6月最終報告を想定し、4回の開催を予定しています。

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長崎が将来も観光交流都市であるために~長崎大学岡林教授との対話

12月7日夜、長崎大学工学部岡林隆敏教授と長崎市内で会食をして、長崎の将来について大いに語り合いました。長崎近代化遺産研究会主催の講演会・シンポジウムで講演をお願いしたことはありましたが、ゆっくりお話しを伺うことはなかったので、良い機会でした。特に、長崎が将来も観光交流都市であるために今やらなければならないことは何かで議論が沸騰しました。①庁舎・主要施設等従来からの都市計画に則った無理のない施設配置を行うこと、②産業遺産等、長崎の「宝」の価値を正当に評価して保存のための資金を調達するために、国指定文化財への登録を進めるなど、大学・博物館の研究者を育成して持続可能な遺産保存・活用を行うこと、③産業遺産等保存しつつも、リピーターを呼び込むための「見せ方」を工夫し、必要な投資を行政が行っていくこと(特に端島(軍艦島)は今の見せ方だけでは早晩観光客から飽きられる可能性がある)、④観光客に見せる前に、長崎市民が先人が残した遺産の価値を理解し、子供たちの教育に活かすこと、など、このままではなくなってしまいかねない長崎の街の価値を保全することの重要性がメインテーマでした。全国で橋梁を始めとする公共施設が朽ちて事故の危険性が高まる中で、長崎県と一緒に岡林先生が計画的に進めてこられたアセット・マネジメントは後世に継承する重要なノウハウだと思います。私や近代化遺産研究会は、岡林先生と一緒に、長崎県の石炭産業がもらたした近代技術について、新たな書籍を出版することを考えています。

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成長する企業の条件

12月4日、東京で「未来に向かって挑戦する経営者・リーダーの皆さんへ~私の経験を交えて~成長する企業の条件」と題して講演させていただきました。20~40歳台の熱心な経営者に多数お集まりいただきました。内容は、①2012年以降の世界経済・日本経済と経営戦略(構造問題と今後2~3年の動向、日本が安定成長する道筋)、②企業が成長を続けるために(成長する市場・事業、成長する企業の条件、顧客・地域とともに歩む姿勢)、でした。企業経営は今踊り場・岐路にさしかかっており、成長できる企業は市場が厳しい現在、着々と次の成長を目指して市場調査と準備をしています。拡大する市場に身を置くことは重要ですが、他社との競争がある以上、市場が縮小しているから企業として成長できないということは必ずしもありません。成長の機会をとらえ、果敢にチャレンジできる企業が、2年後笑う企業だと思います。

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注文の多い資料館~先進的中規模博物館を巡って

12月5~6日、全国でも先進的な中規模博物館を視察しました。東日本大震災後初めて東北地方に行き、宮沢賢治記念館・宮沢童話村(岩手県花巻市)、奥州市宇宙遊学館(岩手県水沢市)を訪問し、東京に戻って東京地下鉄博物館を訪問しました。いずれの館でも館長他職員の皆さんが丁寧に教えてくださって、集客を誇る各施設の優位性を理解することができました。私は長崎県内にもテーマ性の高い中規模資料館を作って、全国の修学旅行生や若い方々に、地域の魅力を理解してもらうと同時に、希望を持ってこれからの日本をどう築いていったらいいか、文学・科学等それぞれの立場で考えてもらいたいと思い、その役に立った視察ではないかと思います。宮沢賢治記念館・宮沢童話村などは、地元の方々にあまり意識はないのですが、全国から宮沢賢治の偉業・足跡をたどりたい方々が大勢訪問されています。宇宙遊学館は隣接する国立天文台の業績を子供たちにどう伝えるか、天文学の専門家で作ったNPO法人が啓発活動に取り組んでおられ、実際の天文データを用いた3D画像で太陽系・銀河系等の構造と相互関係を解りやすく学習することができるシステムを開発しています。東京地下鉄博物館では、実際の地下鉄を運転席に座ってシミュレータを使って運転させていただきました。JR西日本では大惨事になってしまいましたが自動安全装置の重要性も良くわかりました。全国・世界から注目される「小さくてもきらりと光る」、宮沢賢治の小説をもじると「注文の多い」博物館・資料館を作っていきたいと思います。

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国際金融市場の安定は持続するか

11月30日の日米欧6中銀によるドル資金供給協調により欧州債務危機を発端とする金融システム不安が12月1日以降和らいでいます。日銀の白川方明総裁が「時間を買う」措置とおっしゃるように、当面の銀行の資金繰りを支える効果はあり、リーマン破たんの影響が大きかったことから、今回も金融機関の破たんを防止することによりシステムリスクを回避するという措置を打たざるを得なかったと思います。中国の預金準備率0.5%引き下げが、経済減速によりインフレ抑制の必要性が薄れたため、2008年12月以来、3年ぶりに行われたことも、今後の景気後退を回避する政策の現れだと思います。暫くの間、歴史は繰り返し、金融緩和による国際商品・株式等資産価格は安定すると思いますが、欧州債務危機の根本問題が解決されない間は、再び歴史は繰り返し、欧州を中心とした景気の低迷→各国の財政悪化を引き金とする格下げ→各国金融機関の資産劣化・不良債権増大→金融財政システムリスクの高まりが今後1~2年続く可能性が大きいと思います。人間は地震対策・原発事故対策・金融システム不安と、こんなにも同じ間違いを繰りかえすものかと思います。人間には「ナレッジ・マネジメント力」があっても、記憶に限界がある「適度に忘れる」ためでしょうか。あるいは理性より感情により左右されるためでしょうか。

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東日本大震災の影響はいつまで続くか

阪神・淡路大震災(1995年1月17日発生)の時は、兵庫県経済は復興需要により全国経済よりも高い経済成長を示しましたが、3年間くらいかかって落ち込み、その後も7年間くらい低迷を続けましたが、他方、全国経済は震災から暫くして回復しました。同志社大学の林敏彦教授は、これは大震災後兵庫県で財政構造改革が行われず、経済が活性化しなかったためと言っておられます。併せて大阪府の経済を見ると、兵庫県と同様、経済が落ち込み、兵庫県の経済落ち込みは必ずしも大震災の影響ばかりとは言えず、関西経済自体が構造的に脆弱化して行ったことが解ります。今回の大阪府知事選・大阪市長選で大阪都構想が上がること自体、関西経済の行き詰まりを打開しようとする住民の意思の表れです。東日本大震災後、今後1~2年程度は復興需要により経済が下支えされると思いますが、東北地方の産業の構造転換を図っていかないと、関西同様に経済が落ち込むことが予想されます。東日本大震災の影響は、このような地域の産業政策によって大きく変わり、輸出産業のみならず、観光・農業・医療・福祉等を中心とした内需を振興することで、落ち込みを回避できるばかりか、新たな成長軌道を描くことができると思います。今求められることは、東北地方への思い切った投資(資金投入)による早期の復興と、新たな産業基盤の確立だと思います。投資は国によって行われるだけでなく、外国人による投資も導入することが必要になると考えます。

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