2017年長崎県経済の見通し(NBCラジオ2016.12.28放送分要約)~経済は「晴れ」だが、県北・県南・離島とも「観光の付加価値化」が課題

2015年12月9日、「2016年長崎経済の見通し」と題してお話しした際に、「最悪の事態も考えながら、着実に成長することが必要になるのが2016年」と締めくくりました。2016年には、経済というよりも、政治の変化、例えばBrexit(イギリスのEUからの離脱)や、アメリカ大統領選でのトランプ大統領選出という二大激変が起こりました。これらの激変は、当初マスコミや大方の識者が予想していたこととは反対の結果となり、一旦は将来の経済に対する不安が高まりましたが、原油価格の安定もあり、年内は、世界経済にプラスの影響をもたらしています。
2017年の日本経済は、今年の1.0%から0.9%へと引き続き回復基調をたどると予測しています。円安傾向やアメリカ経済の好調を背景として、輸出産業やインバウンド観光が伸びると考えます。長崎県経済については、2017年は堅調な個人消費・住宅投資や高い水準の公共投資を背景として良好な経済を実現すると予測していますが、造船業界の動きには注視することが必要と考えます。アメリカがトランプ政権に変わり、アメリカ経済の成長に支えられる形で景気の緩やかな拡大が見込めるうちに、長崎県経済が準備しておくべき三つの課題は次の通りです。
① 2016年には実現しなかった、教会群の世界遺産登録を早期に実現させることです。既に世界遺産「明治日本の産業革命遺産」の主要構成資産には、国内外の観光客が多く来訪しており、旧グラバー住宅や端島・高島など、「資源磨き」や観光インフラ整備が不可欠です。
② 佐世保市や対馬市・壱岐市など「日本遺産」登録が実現した地域の本格的な観光振興です。県北・離島の大きな観光資源になると思います。
③ 外国人観光客の増加に伴う観光のレベルアップも重要ですが、加えて、観光消費額の拡大に資する土産物開発や水産品販売拠点の整備などが喫緊の課題です。また、県と佐世保市で準備中のIR(統合型リゾート)も早ければ2017年中に実施法が制定される可能性も高く、準備が急がれます。
最後に、年末恒例の経済お天気占いによれば、2017年の長崎県経済は、天気予報に例えると、「晴れ、アメリカ次第では曇り」だと思います。

(今回の記事は、NBCラジオが聞けない地域の方からのご要望があって、ブログに掲載させていただいています。)

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