講演「鯨組深沢家と大村藩」は引き込まれるような魅力でした~歴史資料からストーリーを読み解く面白さ

8月24日午後、長崎県立図書館で、放送大学・県立長崎図書館公開講座として、「鯨組(くじらぐみ)深沢家と大村藩」(講師:長崎大学教授・柴多一雄先生)が開催され、出席しました。私が「長崎鯨食文化を守る会」の理事を務めていることもあり、また、長崎の鯨卸商の日野浩二氏と私との対談集「鯨と生きる」を出版した経験から、江戸時代の深沢義太夫と彼杵の鯨肉流通市場には大いなる関心を持っていました。また、これまで壱岐・五島・生月などでの鯨サミットに深く関わってきたことから、江戸時代に西海捕鯨を事業化した(当時の大企業)鯨組の盛衰の経営史を研究していた私にとっても、魅力的な講演でした。それは、キリシタン大名としても全国的に有名な大村家の史料に基づき、「深沢家と大村藩財政との関係」を解き明かしていたからです。すなわち、初代深沢義太夫勝清と第二代深沢義太夫勝幸が大村藩から鯨捕獲の巨大な利権を得て、家臣にも取り立てられ、富豪にのし上がるのですが、大村藩第四代藩主純長死後財政危機に見舞われ、深沢家から借金をしますが、元利返済ができず、正徳5(1715)年、享保3(1718)年の借財整理を経て、深沢家は衰退して行きます。ついには、寛政8(1796)年深沢与五郎幸郷が鯨組を廃止し、その後、生月(平戸松浦藩)を拠点とする益富家が利権を引き継ぎ、大村藩に運上(うんじょう)を値切って納めるようになります。2時間半休憩なしの講演でしたが、資料に基づく緻密な歴史解説に魅了されました。まるで、塩野七生(しおのななみ)氏のベネチアの栄枯盛衰を描いた小説「海の都の物語」を読んでいるような感覚でした。(画像は講師の柴多先生。)

 

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