製品・商品やサービス・知恵の生産こそ地域発展の基礎~安心な生活・子育てができる所得の定住地域を作る

地域経済をエコノミスト・政策アドバイザーとして10年以上にわたり見ていると、「雇用」こそが地域経済・社会の安定と発展をもたらすことを痛感しています。定住人口が増加する地域を作ることが理想ですが、それができない場合でも人口の自然減を緩和するような政策的誘導を図ることが必要です。定住人口を増加させるためには、安定的な生活と子育てができる雇用・所得の維持・増加が不可欠で(自営業を含む)、そのためには、製品・商品(物作り・一次産業)やサービス・知恵の生産と販売を基本にしなければなりません。交流人口の拡大(観光など)は、こうした基盤の上に立って展開すれば、大きな雇用と所得が得られます。呼び込んだ観光客に買い物・宿泊・飲食等の経済活動をしてもらわなければ、定住人口の拡大・地域経済の発展につながりにくいのです。例えば、医療観光(medical tourism)や健康観光(health tourism)は今後の観光の主流となると思いますが、ただ温泉があるだけでなく、地域産業(医療福祉産業・食加工業等)の基盤がなければ、ただ観光客が通過するだけの地域となってしまいます。観光客を満足させられる時流に合った土産物を提供できない地域も多いのが現実です。私は、多くの地域にとって、地場産業・企業誘致の推進がまだまだ足りないと思います。例えば、長崎県では、県央(大村市・諫早市・東彼杵町)・長崎市・佐世保市・佐々町・波佐見町・松浦市にはオフィス・工場を誘致または開発できる土地と立地の優位性があります。地域に住み続けたい若者を地域で雇用できることが、まず第一歩だと思います。自治体の予算は、国の「成長戦略」に沿いながら、雇用・所得を生み出す次の産業基盤を作るための投資を優先させることが重要だと思います。「過去の遺産」の活用だけでなく「未来の資産」である若者や子供を育てられる地域にしたいものです。(画像は長崎県新上五島町の公設民営の南欧風リゾートホテル「マルゲリータ」。東京の企業のホテル経営ノウハウで新たな観光客の誘致だけでなく雇用も創出した。2012年12月20日撮影。)

カテゴリー: 経営, 街作り, 長崎   パーマリンク

コメントは受け付けていません。