喧噪と静寂の間で

2月5日夜、私はお客さんと一緒に長崎市銅座町の「こま津」に食事に行きました。まわりはランタン祭り(春節=中国の正月)終盤でごった返していましたが、銅座町に一歩入った料理屋の奥の部屋は物音ひとつ聞こえない静けさがあり、ゆっくり食事できました。ここは先代のおやじさんの時から年2回来る店ですが、知り合いのお医者さん達から勧められて行くようになりました。息子さんも東京会館で修業されていたようです。見た目も香りも味も二手間かけ、節分にちなんだ深い懐石料理が印象に残ります。器も三河内焼きなど地元の陶器を使っています。奈良春日山原始林の「月日亭」の料理にも似ています。私は9年前からランタン祭りの中心である新地中華街の中に住んでいて、ベランダから下の十字路を通る観光客や蛇踊りを見ることができますが、祭りの期間中はあまりにも人通りが多く落ち着きません。長崎は「喧噪と静寂」の街で、おくんちも精霊流しも全国的には「静かな祭り」と思われがちですが(精霊流しについては、さだまさし氏の歌のイメージの影響が大きい)、大きな誤解で、うるさいくらいの大音響が街中に響き渡ります。「喧噪のなかに魂の静寂を感じる」、哲学的な町です。(画像は「ふぐの湯引き梅肉和えとあんこうの肝」です)

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