「日本に人を迎える」ビジネス展開を

10/19は朝10時から、東京ビッグサイトでの「ロボット展」、13時半から国際観光戦略研究所木村社長との日本でのIR展開に関する意見交換、17時半からRPA(Regional Planning Association)での中国医療福祉プロジェクト打ち合わせ等とビジネス展開の打ち合わせが続きました。これらに共通することは、「人を迎える」ビジネスこそ、日本が今後強化しなければならない数少ない分野だということだと思います。それぞれの背景には、技術・医療・福祉・歴史文化・食等、専門家の力が必要ですが、それらの専門家を使うコーデイネータ―の力量が求められます。

人類の歴史を見た場合、国の盛衰を考えると、イギリスは、産業革命による工業社会から、金融産業への脱皮を図ることで、人口が減少しても世界の成長を取り込んで成長する産業構造を作りあげました。そのイギリスからの移民が核となって世界の覇権を獲得したアメリカは、広大な国土を生かして農業をベースとしつつも、石炭・石油のエネルギー革命から、工業化・金融産業と、イギリスと似た成長経路を歩みますが、第二次世界大戦後、冷戦の時代背景もあり、防衛・宇宙産業を産業の柱とすることに成功します。日本は、戦後の焼け野原から国民の努力と、霞が関の産業戦略によって、自動車・電機を中心とする輸出による経済成長を実現します。しかし、一方では、質は高いが画一的な教育等により、産業が必要とする人材育成に成功しましたが、独創性の高い人材を生み出すことに必ずしも成功したとは言えなかったのではないかと思います。高齢化・少子化が継続する中で、何が日本を救うのかを考えた場合、「世界から人を迎える」「世界の人材を教育する」いわば、人を扱う産業こそが、日本の生きる道ではないかと思うのです。また、日本人は、本来平和を愛する国民であり、「人を扱う」ことに向いているような気がします。特に、日本経済の将来を考えた場合、マクロでインバウンド観光を推進するだけでなく、「富裕層・超富裕層」を迎える観光ビジネスを展開すべきではないかと思うのです。それは、日本の自然・歴史が作り出した素晴らしい「観光資源」がハードもソフトもあふれる位に存在するからです。また、日本の素晴らしさを外国人に表現し、サービス提供を行うことが、閉塞感のある日本を救うことにもなると思います。

日本は、大国であって今一つ大国になり切れない原因として、「自信(confidence)」が足りないことがあげられるのではないかと思います。日本には、エネルギー資源や金属資源が少ないと言われてきましたが、再生可能エネルギー開発や金属代替技術により、それらの不足よりも、「人材資源」の不足が言われるようになってきました。これからの時代を切り開く「強い人材」「創造的な人材」をどう作るかが日本の大きな課題です。「協調性があり、従順でやさしい人材」も重要ですが、「自分で考え決定し、道を開くことができる人材」「苦難にも立ち向かい、チャンスに果敢に動く」人材も必要です。私が長崎県教育庁の委員会で「未来の人材像」を話すときに、念頭においているのは、このような日本人です。エコノミストとしての私が考える「強い地域」とは、このような人材を多く輩出している地域です。アメリカのボストンやパロアルトのように、イノベーションを起こせる人材の多い地域こそが、アップルやアマゾンやグーグルのような企業を通じてアメリカの経済発展をリードしているという側面があります。「新しい課題にチャレンジする人材」は、「新技術や新商品を開発する人材」だけでなく、「地域の課題を解決するべく企画し、リーダーシップを発揮する人材」も含まれます。新技術・新商品は、課題解決動機から生まれた商品も多いので、これら二つの人材像は共通する面もあるでしょう。日本の人材育成に関する国家戦略が、今ほど求められている時は何ではないかと思います。(画像は、KIWAMIプロジェクト研究会代表・衆議院議員秋元司著「日本の極みプロジェクト」の表紙。)

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