桜の季節間近になると思いだす桜坂

この時期になると長崎県西海市松島を思い出します。JALの機内誌3月号の音楽も「桜」特集でした。以下は長崎新聞に私が書いたコラム「うず潮」2009年10月の再掲です。
十月下旬、私は長崎県地域振興部地域政策課の地域活性化人材育成支援事業(地域アントレプレナー)のアアドバイザーとして、西海市大瀬戸町松島を六年ぶりに訪問しました。松島はJパワーの島として有名ですが、地元で地域活性化に取り組む渋江一文氏に案内してもらい、島内を一周し、周囲16kmの小さな島ながら、地域資源の玉手箱のような島だと気づき感動しました。もともと炭鉱の島であり、四坑跡の赤レンガの廃屋が残っていますが、江戸時代には深沢家による鯨組で栄えたり、大村藩御料牧場があり馬が飼われていたことはほとんど知られていないのではないかと思います。最近では、むしろ福山雅治氏の名曲「桜坂」の原型になったのではないかと思われるような美しい桜並木や、同氏が取り上げて若い女性の間に密かなブームとなっている五島灘を望む「日本一小さな公園」が名所となっています。
渋江氏の自宅は内浦湾に近接した静かな入り江を望む丘の上にあり、入り江ではシーカヤック等のマリンレジャーや松島火力発電所から出る温水により珊瑚が生息する海底を楽しむことが出来ます。昔からそば・小麦を耕作した島なので、そば・うどんを軸にした農業体験と食の開発を行うこともできます。後は資源を活かすキーパーソンと人材ネットワークを作ってコミュニテイビジネスのような具体的事業を起こすことが必要です。
幼い頃から松島で育った若者と、松島に仕事で来て住んでいた若者が同じ松島の女性を好きになり、一緒に桜坂で花見をする。松島で育った若者は東京に出てホテル王として成功する。松島に仕事で来ていた若者も東京で有名な歌手となる。二人の男が六十歳を過ぎ、若い頃を振り返り、一人は松島でリゾートホテルを建設し、一人はそのホテルでコンサートを催す。そして、二人が若い頃好きだった共通の女性と一緒に、薄紅色の桜が吹雪のように舞い散る桜坂で再開する。松島にジェフリー・アーチャーの「ケインとアベル」のような物語があれば、誰もが訪れたくなると思います。「桜坂で会おう」が合言葉となる日を夢見て。

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