九州吟行の記①~紅葉の深耶馬渓(しんやばけい)を行く

11月4日、半年前から予定していた、「紅葉の深耶馬渓(しんやばけい)」吟行に参加しました。とはいえ、11月初旬は、大分県日田市~中津市地域はまだ紅葉が始まったばかり。鮮やかな赤や黄色という訳には行きませんでした。日本遺産「やばけい遊覧」を旅することとなりました。併せて、日本遺産「近世日本の教育遺産群」の一つ「咸宜園(かんぎえん)」をじっくり研究するというテーマもありました。それでも、幾つかの拙い俳句を作ることができました。

「羅漢寺の磴(とう)に展(ひら)ける里の秋」羅漢寺は、大分県中津市本耶馬渓町の曹洞宗の寺院で、羅漢山の中腹に無数の洞窟があり、山門も本堂もその中に埋め込まれるように建立されています。急峻な石段と石畳を踏みしめて一歩一歩登ると、そこは天空の堂宇が開け、振り向くと雲間から数条の日の光が差し込む厳かな風景の底に、静かな山里が広がっています。「南天や石の仁王の動かざり」冬の到来を告げる南天の実が赤く色づき始め、仁王門の脇に静かに佇んでいます。左右の仁王像は素朴な石造りで、じっと動かず、1338年開山から時間が止まっているように感じました。

「清流にさざんか映す里明かり」深耶馬渓の一目八景(いちもくはっけい)は、いくつもの岩が屹立する山水画のような風景で、渓流が流れる里です。渓流沿いに一本の山茶花(さざんか)の木が白い花をつけて水面(みなも)に映り、夕暮れの早い山間の渓谷に明かりを灯したように美しく見えます。「自然薯(じねんじょ)や耶馬の巌(いわお)を一徹に」渓流沿いの蕎麦屋の一軒に立ち寄り、とろろ蕎麦を注文すると、頑固そうな爺さんが擂った濃い自然薯がかかっており、口に入れると、素朴な味と香りが広がります。真っ直ぐに立つ耶馬渓の岩のような、真っ直ぐな味でした。

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