昨年末「Makers」を読みました~新しい「物作りの時代」が始まる予感

12月28日夜、skymarkで長崎から東京に移動する機中で、Chris Andersonの「Makers」を夢中で一気に一冊読んで仕舞いました。「第二次産業革命」が化学産業・石油精製・内燃機関・電機製品の発達を指すとすると、「第三次産業革命」は情報の時代(information age)を形成し、computingとcommunicationが「頭脳の力」(brain power)を増幅させ、生産性を上げたり、新しい商品を創造することです。web世代がreal world(実際の物作りの世界)に目を向けるとき、発明や斬新なデザインを、デジタルでバーチャルに作り上げることができるように変わってきています。これは、私のようなエコノミストから見ると、デジタルな技術を使えば、大量生産と技術革新しかコストを下げる手段がなかった時代とは異なり、安価に少量多品種の製造を実現できるようになります。私が若い時から金融の世界で研究し、取り組んできた「インターネット・バンキング」や「インターネット証券取引」(今や当たり前になっている)が単に取引手段のコストダウンだったのに対して、人間の頭脳で考えたアイデア・意匠を試作・製造するコストを大幅に下げられることは意義の大きなことだと思います。地域産業を考えても、例えば、医療福祉器具の中でも、患者・ユーザーの個別性の高い義肢・義足・人工乳房等をデジタル技術で安価に作ることができれば、社会的厚生が高まるに違いないと思います。もちろん、大量生産のメリットを享受すべき分野も大きいですが、個別性の強い自動車・家電・住宅等を製造する企業も高い売価で販売しなくても存在することができるようになり、あるいは試行錯誤がしやすくなり、様々なベンチャー企業が出現する可能性を高め、「成長戦略」にも資すると思います。ただ、そのためには、一定の「規制緩和」は必要となります。長崎の土産物(アクセサリー・工芸品等)のデザインや製造なども資本が無くても、小さなリスクで製造販売できるようになるに違いありません。そして、地方こそ、流通・通信コストを削減できるデジタル技術をもっと自由に、製造に活用し、地域・全国に販売すべきではないかと思います。(画像は2012年ロンドンオリンピック開会式でイギリスが農業国から工業国に変わる「第一次」産業革命を表現した演出。煙突と蒸気が象徴的。)

 

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