小売の地域集中出店は妥当な戦略か?~コスモス薬品の事例

福岡市に本社を置き、九州で500店ドミナントを推進するドラッグストア、コスモス薬品の経営戦略は小売のタブーである「自社競合」に挑戦している点で興味深いです。私は、過去15年間にわたり、セブンイレブンのドミナント戦略を参考にして、小売り・美容店・エステ等の分野で出店戦略のコンサルをして来て、大きな成果をクライアントにもたらしてきました。ドミナント戦略が成功するのは、人材活用・共同配送等により販管費コストを削減できる場合で、各店舗が一定の商圏で来店者数を確保できる場合です。特に火災・地震・病気等の緊急時、人材面で近隣店舗の支援ができるという隠れたメリットもあります。コスモス薬品は、「商圏人口1万人でも成立する大型のドラッグストア(小売圏メガドラッグストア)」を小さな商圏に展開しています。この場合、「大型店でありながら広域からの集客を見込むのではなく、来店頻度を高めることで商圏人口を倍増させ、小さな商圏でメガドラッグストア(大型ドラッグストア)が成り立つビジネスモデルを構築」しなければなりません。そのためには、「everyday low price」も重要ですが、常に一定の競争力のある商品の品揃えをするためのマーチャンダイジング機能、「low cost operation」も必要になります。これは通常時、利幅を取ることに加え、外部環境に異変が起こった場合も売り上げ減少に耐えうる経営体質にするため(ストレステスト)にも必要です。九州や長崎県内にも小さな商圏に集中出店している(あるいはしようとしている)小売が多く存在しますが、このような条件を満たさないと、維持・発展は難しいのではないでしょうか?

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