飛行機で読んだ一冊⑰~城山三郎「少しだけ無理をして生きる」

長崎と東京の行き来の機内で何度となくボロボロになるまで読んでいる小さな本があります。それは、城山三郎著「少しだけ無理をして生きる」です。城山三郎の代表作「落日燃ゆ」(広田弘毅)・「男子の本懐」(浜口雄幸)・「雄気堂々」(渋沢栄一)の主人公に共通した特徴、「真の人間の魅力」とは何かを浮き彫りにし、この本では「大変な無理だと続かない。大事なのは、ほんの少しだけ、自分を無理な状態に置く。つまり挑戦を続けること」を提案しています。

これら3人を取り上げるほかに、この本では、「指導者の条件」について中曽根康弘さんに聞いた話が書かれており、「非常にやる気があること」「やる気があるけれどもギラギラしていないこと(地味にしていること)」「大変責任感が強いこと」の三つが「将たる器」であるが、さらに、「総理の器」について、「大局をつかむ力(先見性)」「懐の深さ」が追加されるそうです(p.43-44)。日本的なリーダーシップ論は著名な「人間学」者や歴史学者が語っているところですが、「志」を掲げて達成するためには、このような5つの資質が必要になることは多くの方が感じるところでしょう。

次に、城山さんが翻訳した、キングスレイ・ウオード「ビジネスマンの父より息子への30通の手紙」には、人生で大切なことを(あまり出来の良くない)息子に伝えようとしていると書いています(p.66-68)。「とにかくよく準備をしろ」「とにかく挑め」「とにかく人に信頼される人間になれ」などは、孫子の「兵法」をはじめ、東西の思想家・経営者などが言っていることです。また、企業家の条件について、「想像力」「人間性の偉大な観察者」「他人のアイデアを手早く商品化する能力」「自分の信念を守る強い勇気」「情報の重要性」などを上げています。これらを息子にどう伝えて、分からせることができたかどうかに、私は興味があります。たとえ息子であっても、人を動かすには、人間力と工夫が必要だと思うからです(笑)。

筆者の人生を通じた偉人との交流の厚さ、人物研究には驚くばかりで、この本のどこを切っても学ぶべき知恵が詰まっているように感じます。「人間学」と「成功」に興味がある方は、ぜひお読みになって見られたらいいと思います。

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