南瓜飯貧しき過去を娘は知らず

12月28日は年内業務の最終日で、資料の片づけをしていたら、母(菊森恵美子)の句を集めて平成15年に出版された句集「南瓜飯」(角川書店)が出てきました。私は昭和30年生まれなので南瓜飯を知っていますが、現在、南瓜飯を知る人はどれほどおられるでしょうか。句の「娘」とは、私の妹の清与で、昭和33年生まれで、わずか三年の違いで、日本が豊かになった実感があるのです。経済成長過程の国家とは、生まれた年代によってこんなにも生活に違いが出てくるものなのです。選者の俳人佐久間慧子先生の序文によれば、「日本人の誰もが貧しさと厳しい世相の中で子育てを強いられたように、菊森さんもこの体験をされ、この句には切々たる母情が打ち出されています。」と書いていただいています。また、「帰省子の先ず仏壇を拝みけり」の「子」とは私のことです。同じく序文には「まっすぐに育ったお子さんの姿、それを見つめる母親の満足感が簡潔に表現された一句です。仕事を持ちながらの子育ての日々はなまなかのことではなかったと推察されます。」とあります。母は三重県庁、その後請われて奈良県庁にほぼ定年まで奉職し、公衆衛生一筋に捧げて来た人間です。様々な社会階層の方々に健康面・福祉面のアドバイスをしてきた人間です。母は今も元気に奈良で暮らしていますが、私に何度となく聞かせてきた言葉は「職業に貴賤なし」でした。機会平等・多数の幸福の精神が今も私の基本を形成しているのは、母の影響であり、偶然ではないと思います。

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