REITとともに歩む~不動産証券化が果たした役割は大きい

3月4日の日本経済新聞朝刊に「米証券化市場回復の兆し・不動産ローン担保昨年2倍」という記事が出ており、13年前を思い出しながら読んでいました。1990年代の不動産バブルとその崩壊は、日本経済に大きな影響を及ぼしました。私がまださくら総合研究所にいた1999~2000年頃、三井不動産と一緒に不動産投資信託(REIT)を日本に導入することの経済的意義について研究していた時期があります。当時は、不動産取引も不動産価格も低迷していて、日本経済が土地本位制であったがゆえに、経済全体を落ち込ませていました。私は、金融先物・オプション市場創設を手掛けた後、アメリカの不動産投資信託市場の研究をしていたので、REITにより不動産価格を安定させ、マクロ経済を上向かせることができるのではないかと考え、「市場を創設するべき」との提言をしました。そして、2001年9月に我が国最初のREIT商品「日本ビルファンド(NBF)」が上場されました。その後、ファンドや海外の年金基金からの日本の不動産への投資が戻り、ミニバブルが発生した時期もありましたが(市場は時に暴走します)、NBFの配当利回りが3%を大きく割り込むようになると不思議なことに(当然なのですが)投資が減って不動産価格が低下するようになりました。REIT市場ができたことで、不動産価値の安定化が図られたことは事実だと思います。最も残念だったのは、どんな優れたツール(道具)であっても、使い方を誤って、サブプライムローン問題やリーマンショックのような市場の暴落を起こし、世界経済を混乱に陥れたことです。やっとアメリカの証券化市場が回復してきたことは世界経済にとっていい状況です。我が国には、まだ、オフィス・住宅・商業施設のREITが多く、倉庫・物流基地やホテル、高齢者施設のREITが少ないので、多様化が図られることが必要だと思います。(画像は東京・浜離宮公園から見たオフィス街。ほとんどがREITに組み込まれている。2012.11.24撮影。)

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