金価格高騰をどう見るか

私はこのブログに投資関係の記事をなるべく書かないようにしています。過去40年間の投資経験からして、投資は自分で体得しない限り成功しないもので、投資に向く人と向かない人が明確に分かれるからです。金融・経済の専門家であり証券アナリストでもある私が言うのもおかしいかも知れませんが、単なるポートフォリオや現代投資理論の考え方だけでは投資のパフォーマンスを上げることが難しいことは、国民の大切な年金資産や多くの投資信託の運用パフォーマンスを見れば明らかです。投資とは成果がすぐに目に見えるのでごまかせません。むしろ、私が若い時にしたように、モルガン財閥やロスチャイルド財閥の歴史を研究した方が、成功すると思います。このような中で、最も投資に向かない商品が全体として最高のパフォーマンスを上げているということは皮肉であると同時に、投資とは何かを教えてくれていると思います。それは「金」という不思議な商品です。
金価格は、30年前1トロイオンス=200ドルくらいだったと記憶していますが、先週末1トロイオンス=1,850ドルを超え、年内に2,000ドルに達するという欧米の専門家も多いです。一方、NYダウは11,000ドルを割り込んで下落しています。金価格高騰の背景は、欧米経済が財政悪化のため停滞し、不安心理から金を買っていることがあります。①アメリカの国債格下げなどドルが弱いため通貨の代わりに金を買っている、②金の実需・投資ニーズが新興国で高まり、今年の4~6月の需給統計によれば、インド38%増加、中国25%増加となっています(イギリスのゴールド・フィールズ・ミネラル・サ―ビシズ社、8月18日発表)。全ての投資商品は心理で動きますが、最近のVIX指数(不安心理を反映)の上昇と金価格の高騰は、世界経済・社会に対する不安心理の高まりを表しています。金は金利も配当も付かないので、投資商品ではなく、金融資産ポートフォリオの1割程度のヘッジとして活用すべき商品ですが、経済が手詰まりになった時に威力を発揮します。私は目先価格が上がっていずれ調整すると思いますが、悪い経済状況を反映しているので、好ましいものではないと思います(投資には価値観を入れたらいけませんが)。

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