日本の新しい「物作り」戦略を考えるべき時に来ている~「日本型モノづくりの敗北」を読んで

12月1日、飛行機で東京から長崎に移動する飛行機の中で、湯之上隆氏の「日本型モノづくりの敗北」が大変面白くて一気に読んでしまいました。私自身、中小企業診断士としての専門分野が商業やサービス業(建設・外食・ホテル・理美容等)で、製造業のコンサルを余り手掛けてこなかったのですが、証券アナリスト(日本証券アナリスト協会検定会員)として製造業の分析を行うことは多かったことと、長崎で受注生産型製造業の研究をする機会が増えたので、日本経済を形成してきた「モノづくり」を肌で感じることが多かったのです。ただ、最近の電機産業の苦戦には心を痛めていました。著者の湯之上氏は、日立製作所で半導体の微細加工技術開発に携われてきた方で、日本の半導体産業の苦戦を内部から冷静に分析しており、「ここまで書くか」と思った部分もありましたが、今後の日本の製造業をどうするべきか、技術者の目から方向性を示しているので、今後の日本や地域の産業構造を考える上で、大変参考になります。①日本は「摺合せ技術」は得意ですが、部品の標準化・共通化に弱いとか、②イノベーションは模倣から進めるべきとか、③日本が特徴的に強い装置は何かなど、前向きに提案している実践的な本だと思いました。(画像は、長崎市東部下水処理場。三菱長崎機工㈱が実施しているB-Dashプラント。水処理技術は日本に向いている。2013.5.26訪問。)

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