不動産投資信託(REIT)市場と上手に付き合う

今朝の東京12チャンネル「モーニングサテライト」で、アメリカの中古住宅価格指数が上昇したとのニュースが取り上げられ、不動産投資信託(REIT)指数も上昇しているが、商業用不動産の空室率はまだ高く、不動産市場が今後も順調に回復するかどうかはわからないという解説がされていました。私もREIT市場は他の市場と同様、常に注視しています。それは、日本のREIT市場は不動産市場を的確に反映していますが、投資家の資産選択上、導入当初投資家が期待したような「ミドルリスク・ミドルリターン」には必ずしもなっていなくて、小型株以上の価格変動性(volatility)があるため(市場の非効率性=market inefficiency)、独特の投資手法が必要となってくるからです。1999年、私がさくら総合研究所金融クラスター長だった時、三井不動産からの依頼でREIT市場が我が国経済と不動産市場に与える影響を研究し、我が国の第一号ファンドとなった日本ビルファンド(NBF)を組成する準備をしたことがあります。その時の結論は、REITは不動産市場の市場効率性(efficiency)を高め、市場を活性化させるということでしたが、当時の予想通り、国内外の投資ファンドが日本の不動産をREITを含めて購入し、東京を中心として都市部の不動産価格を上昇させることになりました。NBFで2%台まで価格上昇したのを覚えています。当時アメリカのREITは、居住用・商業用・オフィスなど分野別にそれぞれ専門特化した市場が大きく発達していて、我が国にもいずれこのような市場を作りたいと思って研究をつづけ、その後、日本住宅普及協会(日本住宅金融公庫)から、今では当たり前になった居住用不動産(residence)の証券化の研究を依頼され、アメリカのワシントンDCでファニーメイやフレデイマックを研究しました(その後リーマンショックでこれらの政府系金融機関は救済の対象となりました)。私は金融機関にいた人生を振り返り、実物資産の証券化(デリバテイブを含む)に取り組まざるを得なかったと思いますが、時に実物資産と金融資産が乖離することがあり、投資家は常に様々なチャンスとリスクに直面していると言えます。

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