ピケティ「21世紀の資本」について~r(資本収益率)>g(国民所得成長率)

1月9日夜、経済学とあまり関係がないと思われていたある関西の方から、いきなりピケティについてメールが来たので驚きました。毎日放送ラジオの「報道するラジオ」という番組のテーマが「ピケティ」だったそうで、「21世紀の資本」のフランス人著者、トマ・ピケティ(パリ経済学院教授)のことでした。2013年にフランスで出版、2014年英訳後、アメリカで爆発的な人気を呼び、ニューヨーク・ウオール街占拠事件のきっかけになった書籍です。経済学者ならば知らない人はいないでしょうが、「資本主義の根本的矛盾」と呼ばれる不等式「r(資本収益率)>g(国民所得成長率)」を19世紀以降の欧米のデータを用いて立証していて、「ほとんどの時期で不平等は拡大しており、戦後の平等化した時期は例外だった」という結論です。ただ、ここで注意を要するのは、「資本」を「資産」(株式・不動産等を含む)と同様の意味に使っており、「資本主義下では所得の伸びよりも資産の収益率(配当・賃貸料等に加え、資産価格の上昇を含む)の方が常に高い」と解釈する事が出来るのです。これは、資産の保有による「格差の拡大」も指摘しており、その関西の方からは、「給料を資産に変えて運用しなければ金持ちにはなれないんですね」といううがった質問が寄せられました(笑)。若い時からファイナンス理論を研究してきた者にとっては当たり前のことですが、NHK(ニュース)を始めとする日本のマスコミが最近になって取り上げたことの意味は大きいと思います。

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