アメリカFRBがQE3縮小を見送りました~もう一つの時代の変わり目・市場の潮目

9月19日早朝、アメリカFRB(連邦準備理事会)バーナンキ議長が、QE3(量的緩和第3弾)の縮小を、市場の予想に反して見送りました。ニューヨーク株式市場はこれを好感して147ドル上昇しました。2008年9月15日に起こったリーマンショック(リーマンブラザーズの破たん)を引き金にした世界的金融不況の終焉をいつ迎えるのかという点で注目されていましたが、米国経済指標や雇用の中身、新興国への影響などを配慮して、緩和縮小は、今年12月に延期されるものと思われます。リーマンショックから5年間かけて、「金融が経済を振り回す」(犬の尻尾が犬を振り回す)状態からやっと世界経済が立ち直り始め、正常に戻ってきていると思います。若いときから金融経済分析・予想をしてきた私としては、このブログに金融市場の話題を掲載することを控えていますが、今日のように、時代の大きな流れが変わる「潮目」については、書きたくなります。20歳台から昔のソロモンブラザーズ等primary dealer(米国債のmarket makeを行う証券会社・投資銀行)やモルガンスタンレー本社を頻繁に訪れ、エコノミスト達と金融・経済の見通しを議論したり、40歳台には国の仕事でFRBと金融機関経営や公的金融のあり方を議論したりしてきましたので、懐かしく思い出されます。その過程で私が感じたのは、「金融が経済を実態離れて大きく動き出す時が要注意」ということで、リーマンショックはまさにデリバテイブ(金融派生商品)や証券化商品の行き過ぎが招いた金融破たんが経済を急激に悪化させた出来事でした。膨れ上がった中央銀行のバランスシートを少しずつ縮小させながら、経済を緩やかに回復させるという局面をアメリカは迎えることになります。バーナンキ議長が「慎重かつ現実的に」経済を正常な経済状態に戻そうとする気持ちは今朝の発言を聞いていて良く分かりました。

カテゴリー: 世界日本経済, 人生, 投資   パーマリンク

コメントは受け付けていません。