「米国の高金利について」~私の経済・金融論壇への第一歩となった小論の思い出

今日は若い方々に送りたい経験話を一つ。1月1日、昨年末東京の自宅書斎の大掃除で発見した、黄ばんだ旧三井銀行「調査月報」の処女作「米国の高金利について」を見ていて、笑ってしまいました(画像、最後に名前が載っています)。題名は銀行の調査月報らしく平凡ですが、当時、双子の赤字を抱えた米国の高金利体質がドル高・円安を招いており、提言が当時としては斬新で、アメリカが財政赤字を減らし、金融政策をマネーサプライ増加に舵を切らないと、高金利は解決しないと結論づけていた点が、内外に波紋を呼びました。今から思えば若造(28歳)のアメリカに対する内政干渉とも受け取られかねない提言ですが、公表翌日の日本経済新聞やJapan Timesに紹介され、朝一番で、官邸(当時は中曽根内閣)から内容について問い合わせ電話があったのを今も覚えています。日本の民間銀行のエコノミストが、アメリカの経済・金融政策について公式に提案することなど聞いたことが無かったのでしょう。官邸は貿易摩擦など対アメリカ政策に頭を悩ましており(アメリカから攻撃されていた)、当時の通産省の通商白書を発行しているセクションから、為替・貿易摩擦問題の研究会を立ち上げるから委員になってほしいと依頼があり、お引き受けしたのを覚えています。アメリカ経済金融政策の専門家が少ない時代で、その後日本政府の紹介で、アメリカ大使館・アメリカンクラブにも出入りするようになりました。当時の三井銀行には、経済政策面からの国家への自由な提案の雰囲気があったのでしょう。私は、現代の若者が国家や世界を動かす位の真剣さや若者に活躍の場を与えるスケールの大きさがほしいと思います。

 

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