若者に国際感覚を

全国の若い経営者や長崎県の若者に私が過去に書いた長崎新聞「うず潮」を送りたいと思います。下記の原稿は2010年9月に掲載されたものです。
最近、若者が仕事や旅行で海外に行くことを好まなくなったという話を大手商社や旅行会社の方々に良く聞きます。企業や中央官庁の留学制度も戻ってからの処遇が特に良い訳ではないので、昔ほどの人気は無いようです。それだけ国内で満足の行く仕事や観光地が存在することを意味するのでしょうが、貪欲に海外の知識を吸収しようとした私の世代には、少しもったいない気がします。
私の場合は、銀行からの派遣で米国の経営大学院に留学させていただいたのですが、ノーベル経済学賞を受賞した一流の学者達に直接教わり、若者には大きなチャンスとなったことは言うまでもありません。米国社会という異文化を肌で感じ取り、そこから日本を客観的に見ることが出来たことも貴重な体験でした。帰国後も欧米のデリバテイブを日本に導入するために金融先物取引法の制定に関わったり、米国の銀行・証券会社買収の交渉を弁護士と一緒に行ったり、米国人と交渉することの難しさを二十歳台から経験してきました。9月上旬、不動産王と言われたドナルド・トランプ氏が「明日の成功者たちへ」という本を出版しました。同氏は不動産開発業で大成功を収め、マンハッタンにトランプタワーを建設したり、一時航空会社も経営し、私もニューヨークからワシントンD.C.に移動する際にはトランプ・シャトルを良く利用していました。不況時に財政問題を抱え苦しんでいましたが、奇跡の復活を果たした、良くも悪くも「アメリカ的な」人物です。同書は若い経営者に送る本として書かれた欧米的な知恵が詰まった本です。
長崎県が交流によって栄えた地域であるなら、海外の動向を知り、日本のとるべき戦略を考えることが必要です。的確な海外情報を得て日本は明治維新後近代国家への発展を遂げたのです。長崎県の若者はもっと海外を知るべきではないでしょうか。私の世代は米国が参考になりましたが、これからは中国やアジアかも知れません。海外を知るには知的好奇心やチェレンジ精神が不可欠ですが、道具としての語学も重要です。実践的な中国語教育の場や中国語検定も必要ではないでしょうか。国際観光も県産品の輸出も、若い世代が担っていると言っても過言ではありません。

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