描いた夢は必ず実現する

私は人生は短いものだと考え、若い時から夢を描いて着実に実現してきました。若い時は、国内外のさまざまな偉人の伝記を読んだり、経営者のノンフィクションを読んだりしましたが、実際に人、特に「人生の師」に会うことが最も大切です。旧三井銀行に入行した直後、23歳の時に大きな志を抱いて松下幸之助氏が開設する「松下政経塾」の第一期生に応募し、論文試験・面接試験・プレゼン試験に通りましたが、会社との折り合いが付かず、入塾しませんでした。当時はまだ終身雇用制神話が健在で、若かった私は安定の方を取ったのです。最終面接で松下幸之助氏に会った際、喉に拡声器を付けておられ、ご病気だったのだと思いましたが、多くの人に影響を及ぼす企業経営・国家経営について一対一でお聞きし、感動を覚えました。最後に、「世にエリートと言われる人間ほどもろいものはない」とおっしゃったのを今も思い出します。「人生の一大事は5分で決まる」というセリフが映画「ウオール街」にありますが(この映画は若い人には必ず見てもらいたいほど人生の知恵が詰まっています)、この時の松下幸之助氏との出会いがその後の私の人生を大きく左右します。この時から、「多くの人を救う仕事、多くの人に影響を与える仕事をしたい」と思うようになります。でも若い時は、組織の歯車という面もあり、自己表現がなかなかできませんでした。しかしながら、世の中は捨てたものではなく、着実に実績を上げている私を経営者(社長=頭取、役員)や他部署の先輩がみてくれていて、多くのチャンスをいただきました。そして「仕事が人を伸ばす、ポストが人を伸ばす」ことを身を以て体験しました。私は、40歳になったとき、企業人として成功することが重要だけれども、「好きなことで自分を伸ばしたい」とも思うようになりました。金融・経営の本を執筆・出版したり、社内外で講演したり、中小企業診断士の資格を取り、論文を発表したり、土日を中心に少しずつ活動をしていきました。銀行が合併を繰り返す中で、自分の能力を磨き、力をつけておきたいという気持ちがあったのかも知れません。好きなことをやると困難な仕事であっても苦になりません。終身雇用制は崩れつつありました。さくら銀行と住友銀行の合併時に日本総研(住友グループのシンクタンク)に移り、重要なプロジェクトにかかわり自分の活動を大幅にレベルアップすることができました。その後長崎県庁からの招へいを受け、ながさき地域政策研究所に行き、地域政策へと活動分野は変わりましたが、少しでも自分の能力を社会の役に立てたいとの思いで毎日の業務を続けるとともに、新しい目標を設定して夢の実現に向かっています。回り道したり、対象の変化はあるものの、「描いた夢は必ず実現する」という真実を、若い人にも経験してもらいたいと思います。

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