社会保障と財政は同時決定が必要

12月18日の朝9時からNHKの日曜討論「一体改革で私たちの年金・雇用はどうなる」が放送されました。見ていた方も多いと思いますが、過去10年間、先送りにしてきた問題がやっと取り上げられたという感を強くしました。番組を見ていて国民年金だけでなく、厚生年金も将来の支払いが約束されないのではないかと不安を持たれた方も多かったのではないかと思います。神野直彦東京大学名誉教授の指向すべき年金制度の説明も一般の方々にはわかりにくく、独協大学の森永卓郎教授の話が最も的を射てわかりやすかったと思います。①消費税増税が年金支払いを始めとする社会保障に正当に使われるのかどうか、将来に向かって年金財政が厳しくなるごとに止めどもなく消費税増税が行われるのではないか、②消費税増税は消費に課税されるので、不況期等で一定所得以上の人が消費せずに貯蓄にお金を回す傾向にあり、結局、年金支払いを富裕層以外が負担することになるのではないか、と言った国民の素朴な疑問に政府は的確に答えることが必要です。私は、社会保障費用を現時点では所得税ではなく消費税に負担させざるを得ないと思います。所得課税では消費を手控えさせ不況・デフレ傾向をさらに助長させることになるからです。将来に向かって財政赤字を縮小させるという絵を描きながら、目先は経済に悪い影響が出にくい増税を選択しなければならず、財政赤字拡大が避けられないと市場が感じれば、国債暴落を招いて(長期金利を上昇させ)、今後起こる可能性が大きい欧州債務危機と相まって経済全体に未曾有の影響を及ぼす可能性があることは肝に銘ずることが必要だと思います。

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