欧州危機の行方と我が国の対応

12月8日早朝、欧州中銀(ECB)が債務危機対応として、政策金利引き下げ(△0.25%幅)、銀行の資金繰り支援として資金供給期間を1年強→3年に延長のみを公表し、財政悪化国の国債購入には言及しませんでした(政策金利引き下げ△0.5%、国債購入増額という方法もあったと思います)。EU首脳会議が8~9日開催されるので、ECBはできることが限られていることを表現したのでしょうが、EU首脳会議では財政規律強化がEUの「南北問題」になっている債務国支援の条件であるがゆえに新たな合意にこぎつけることは容易ではないと考えます。対症療法を繰り返しても、債務危機国が財政削減・均衡への道筋と可能ならしめる具体策を提示できない以上、EU諸国・欧州金融機関全体の格下げは避けられないと思います。そのためには、もう一段の危機的状況が現実のものとなり、EUからの離脱方法もルール化しないと、欧州債務危機は一時小康状態になったとしても収まらないと思います。また、欧州自らがこの問題の解決に本気で踏み切らない限り、IMF・ECBの本格支援はできないし、するべきではないと思います。このような中で、アメリカのFRBが金融機関の格付け手法を変える(FDIC(米国預金保険公社)フォーミュラ利用)ことを打ち出したのは賢明だと思います。私は13年前くらいから金融庁政策理論研修の講師をさせていただいて来ましたが、現在の格付け機関の格付けのみに頼ることには問題があると考えています。欧州危機の我が国への悪影響を最小限にとどめるためにも、格付け手法を含めた金融機関評価方法を我が国から発信して国・金融機関の経営健全性をアピールすべきではないかと思います。このままでは対岸の火事で済まないと思います。

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