円高でも成長できる日本経済を

日本の財政再建や経済安定には成長戦略が欠かせません。成熟国である日本・円高では成長できないと言う方がいますが、私は、円高でも日本経済を成長させる方法はあると考えます。高齢化・成熟国日本の将来像を考えると、英米のように金融モデルで国家を運営していくことは、欧米に比べ弱い金融界人材の質・意思決定能力からして無理だと思います。むしろ日本は製造業でこれだけの円高になっても優位に立っていることから、「モノ作り」をベースとしたイノベーション(革新)により成長できると思います。ただ、欧州危機が2013年半ばまで持続し1ドル=50円クラスの円高が持続した場合、国内で製造することには採算面で困難が伴い、むしろ①欧米・アジア・アフリカなどで生産性の高い経営を行うこと、②円高を活用して、海外のビジネス等を買収・出資することにより、新たな成長に導くことは、英米多国籍企業の歴史を見れば明らかです。分野としては、従来の自動車・電機だけでなく、環境・医療機器等日本が差別化できる分野が良いと思います。また、サービス業分野も、医療・福祉・農業・観光等内需型でも成長できると考えますが、日本に強みである「技術」と結びつけた産業化を図ることにより、海外にも進出できるサービスの標準化を図ることができるようになると思います。したがって、「円高だから成長できない」、のではなくて「円高でも、円高を活かして」成長できる産業構造とすることは十分にできます。ただ、その際に経済・産業の足を引っ張っている、①デフレ、②内向きの人材を、①緩やかなインフレ、②海外向きの人材に変える政策が必要です。デフレでは売上・利益を伸ばしにくいし、海外向きの人材なしには企業の国際化(グローバル化)を達成することは難しいからです。人材育成は学校教育も重要で、国際的に通用する大学・大学院を増やしていかなければなりません。

カテゴリー: 世界日本経済   パーマリンク

コメントは受け付けていません。