兆候のうちに問題を解決する知恵と勇気

11月17日辺りからイタリアだけでなくスペインの国債の利回りも7%近くになっており、東欧諸国にも波及して、フランス・ドイツ国債格下げの可能性も出てくるなど、欧州危機がソブリン(国)から金融機関に波及し、拡大しています。これは、ギリシア問題を始めとして、問題を先送りにして来たつけが回ってきたに過ぎないと思います。我が国の不良債権問題も当初解決を先延ばしにしてきたがゆえにさらに多くの予算を費やし、「日本経済不毛の10年」と「日本デフレ20年」につながったことを思い出すべきだと思います。アメリカの経済が落ち込まず、中国が独自の経済金融政策で世界経済を安定化させない限り、世界経済金融の危機が避けられなくなる可能性が出てきました。11月18日のウオールストリートジャーナルまでが「欧州経済の問題はIMF(国際通貨基金)が関与すべき範囲を超えている。」と述べています。私は、欧州問題の解決が見えてこない限り、世界経済・日本経済は2013年まで落ち込み、日経平均が7,000円程度まで低下し、ドル円相場は45円程度まで進行すると考えています。実際にはアメリカと中国が欧州問題に協力し、最悪の事態を避ける可能性はありますが、それを機に、両国が欧州に対する覇権を強化する結果となると思います。危機的状況は火種のうちに解決することが必要で、先延ばしにすると結局大きなつけを払わされることになるのは、経済金融政策も企業経営も同じです。私の財政再建や企業再生の経験から、解決手段のあるうちに勇気を持って踏み出し、知恵を使って損害を小さくすることが国・地域・企業にとって最善の策なのです。

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