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長崎のまちなかでは、公会堂前のくんち会場設営が始まるなど、10月7/8/9日に行われる「長崎くんち」の気運が盛り上がってきています。私個人的には、今年の楽しみは、万屋町(よろずやまち)の「鯨の潮吹き」。「長崎の鯨食文化を守る会」の理事を務めさせていただいていることもあり、江戸時代から長崎の生活に浸み込んだ鯨食文化(くじらしょくぶんか)を後世に伝えていきたいと思います。その点で、長崎くんちの「鯨の潮吹き」は7年に一度奉納される重要な無形文化財です。出し物として、実際に潮(水)をポンプで高く噴き上げるシーンが全国的に有名ですが、物語としても面白く、ストーリーが二つに分かれていて、前日では夏の名残のなか、セミクジラが悠々と大海原を泳ぐ姿を、勇み唄を交えて演出し、後日には、鯨に網がかけられ、冬の海で鯨捕りに追われる様子を、納屋の雪景色やつららを使って表現しています。長崎くんちの各出し物は、背景にストーリーや経済的な歴史があって、むしろそちらの方が興味深いです。長崎県は昔から平戸・生月(いきつき)・五島・小値賀(おじか)・壱岐など西海捕鯨の基地で、東彼杵(ひがしそのぎ)には鯨肉の一大流通基地がありました。天領(てんりょう)であり、最も豊かだった長崎人は鯨肉の中でももっとも高級な部位である「畝洲(うねす)」を食べる習慣があり、正月・結婚・棟上げなどには鯨を今でも食べることが多いのです。ちなみに、調査捕鯨が原則となった今でも、長崎県は全国の鯨肉の約1割が食べられています。長崎に来ればほとんどの居酒屋や料理屋で鯨肉が比較的安く食べられます(笑)。(画像は「長崎くんち万屋町」の鯨の潮吹きの絵柄の記念品。)

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